一老人いちろうじん
「諸君!我輩は……」 突然、悲憤の叫びを上げたのである。 ちょうど甥が出征するという日で、朝から近所の人達が集まり、私もそのささやかな酒宴の席に連っていた。 障子の隙間から覗いた一人が「四郎右衛門の爺様」だと言った。 怒鳴った爺様は、さめざ …