“刷”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
68.0%
17.6%
ずり4.8%
すり4.0%
0.8%
かいつくろ0.8%
0.8%
さつ0.8%
すつ0.8%
0.8%
はけ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
汽車に連るる、野も、畑も、はたすすきも、薄にまじわくれないの木の葉も、紫めた野末の霧も、霧をいた山々も、皆く人の背景であった。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふところからり物の紙をだして、なかよくひとりへ一枚ずつくばってあたえる。見ると、なるほど、子供がしがりそうな美しい刷り物。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
改造だの青磁社だのまだ出来上らないサルトルの飜訳ほんやくのゲラずりだの原稿だの飛び上るような部厚な奴を届けてなんじあくまで読めという。
余はベンメイす (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
すると其時夕刊の紙面に落ちてゐた外光が、突然電燈の光に変つて、すりの悪い何欄かの活字が意外な位あざやかに私の眼の前へ浮んで来た。
蜜柑 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
背皮に黄金おうごんの文字をした洋綴ようとじ書籍ほんが、ぎしりと並んで、さんとしてあおき光を放つ。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とびの羽もかいつくろいぬはつしぐれ
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
秋もけ、十月も半ばをすぎると、相模の山々の漆やぬるでに朱がし、月のない夜闇がひとしお色濃く感じられるようになった。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
急に再び兵を発して長駆追ってみたが、すでに蜀軍の通ったあとにはびょうとして一さつの横雲が山野をひいているのみだった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じつ先日せんじつ倫敦ろんどん友人いうじんから『世界せかい名畫めいぐわ』とだいして、隨分ずゐぶん巧妙かうめうすつてあるのを二十まいばかりおくつてれたがね、それは如何どうだらうかとおもふのだ。』
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
品も新らしいように奇麗で、みんな初版りだったから、表紙絵の色りも美事だった。
もやが一はけ、帯のようになすり付けられて、その靄からぬけ出したサンタ・マリヤの塔が、蜃気楼でも眺めるよう。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)