“糊刷毛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
のりばけ60.0%
のりはけ40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すると、丁度その時、雌鶏は爺さんの油断を見すまして、荒縄から身をすりけ、土の上を走りだした。糊刷毛のりばけのような白い毛を羽根の先に残しているだけで、全くの丸裸になってしまっている。
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
二階に、柿田が病人と二人ぎりで居ると、階下したから種々いろ/\な話声が途切れ/\に聞える。トン/\トン/\と店の方で打つ経師屋らしい糊刷毛のりばけの音は、寝胼胝ねだこのあたつた内儀かみさんの身体からだに響けて来る。
死の床 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
サッサッと糊刷毛のりはけで掃き、レッテルを貼り、押し、叩き、次の荷造場にづくりばへ送る中年おんなの活躍もさることだが、彼女らもまた同じ種の高麗鼠であるそしりは徹頭徹尾まぬかれない。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
軸は、仮表装の北斗七星の四文字である。文句もそうであるが、書体はいっそう滑稽であった。糊刷毛のりはけかなにかでもって書いたものらしく、仰山に肉の太い文字で、そのうえ目茶苦茶ににじんでいた。
彼は昔の彼ならず (新字新仮名) / 太宰治(著)