ずり)” の例文
改造だの青磁社だのまだ出来上らないサルトルの飜訳ほんやくのゲラずりだの原稿だの飛び上るような部厚な奴を届けてなんじあくまで読めという。
余はベンメイす (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
又しても名所図絵を引合ひに出すやうであるが、それによると、夜啼石の由来といふものを一枚ずりにして小夜新田しんでんの茶店で売つてゐる。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
そうかと思うと一方には、代がわりした『毎日新聞』の翌々日に載る沼南署名の訣別けつべつの辞のゲラずりを封入した自筆の手紙を友人に配っている。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
予が先生の新しい詩集「そよぐ麦」の特別ずりを買つた事を告げたら「其れは好かつた。もう一月前に品切と成つたのでこの某君などはかい遅れたさうだ」とかたはらの若い詩人を見て云はれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その癖職人絵合せの一枚ずりにゃ、烏帽子素袍えぼしすおうを着て出ようというのじゃ。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(『書生気質』は初め清朝四号ずりの半紙十二、三枚ほどの小冊として神田明神下かんだみょうじんしたの晩青堂という書肆しょしから隔週一冊ずつ続刊されたので、第一冊の発行は明治十八年八月二十四日であった。)
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)