“ず”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
33.3%
12.7%
12.4%
8.2%
6.2%
4.7%
3.6%
3.4%
2.4%
退1.9%
1.1%
1.1%
0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.2%
0.2%
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0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
最後の死のゴールへ行くまではどんな豪傑でも弱虫でもみんな同列にならばして嫌応いやおうなしに引きってゆく——ということであった。
のんきな患者 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
「おらあ仲間うちからが高えと云われたもんだが、このごろは悠坊のおかげですっかり腰の低いにんげんになっちゃったぜ」
桑の木物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
わざと経文を声高くしてみたところで、それは、またあらぬ人の怪しみを買うばかりで、お松の耳に届こうわけもないのであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
当主の、福子の良人には父にあたるその人は、温厚おんこう一途いちずで、仕事の上のことでは、まだまだ隠居のの下にいた。
万年青 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
彼は突然湯河の手頸てくびつかんでぐいと肩でドーアを押しながら明るい家の中へり込んだ。電燈に照らされた湯河の顔は真青だった。
途上 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その間にかたきねらう上野介の身に異変でもあったらどうするかと、一に仇討の決行を主張するものとがあって、硬軟両派に分れていた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
とうさんが玄關げんくわんひろいたて、そのをさおときながらあそんでりますと、そこへもよくめづらしいものきのすずめのぞきにました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
るそうな眼でちらっとうしろを振りかえると黙って立ちあがり丈吉のすすめるアイスクリームをうまそうに頬ばった。
菎蒻 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
笑いながら押し合ったりみ合ったりしているうちに、謙譲している男が、引きられて上座じょうざに据えられるのもある。なかなかの騒動である。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
お八重は背後うしろへ体を退らせたが、しかしその瞬間去年の秋の、観楓の酒宴での出来事を、幻のように思い出した。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
昔し自分を呼びてにした人から今となって鄭寧ていねい挨拶あいさつを受けるのは、彼に取って何の満足にもならなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
からずむかしをいはば三千ごく末流まつりうなりといふ、さらば旗下はたもと娘御むすめごにや、親御おやごなどもおはさぬか、一人ひとりみとはいたはしきことなりと、はやくもそのひと不憫ふびんになりぬ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その内でも優れた美人を誘拐かどわかして犠牲にし、連夜ひそかに悪魔の呪法をして将軍家光を調伏する計画だったのです。
閃弧せんこといふものがある。千九百六年せんくひやくろくねんのヴェスヴィオ噴火ふんかおいて、ペアレット撮影さつえいかゝるものである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
過去に経験のないひとみをする源氏に同情して、現在の三位さんみ中将は始終たずねて来て、世間話も多くこの人から源氏に伝わった。まじめな問題も、恋愛事件もある。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「親分、玉六は昨夜からゐませんよ。どこかへらかつたんぢやありませんか」
にんげんはるくて不人情で、おらあ小股こまたをすくわれたり陥し穴へつきおとされたり、ひでえめにあいどおしだった、——さすがのおれもごうが煮えて、やけっぱちになって、そうして、……ええくそ
泥棒と若殿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
市十郎は、いつも着通しのあわせに、古編笠、やつれ刀の寒々とした姿を、おうまや河岸の茶めし屋の前に見せ、よしをのぞいて
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すぐに すぐにりさつてこんな幻像を消してしまへ
青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
じょうと、五刑が規定されているが、聖武天皇以来、代々の天皇はみな熱心な仏教の帰依者で、仏法尊信のあまり、刑をすこしでも軽くしてやることをこのうえもない功徳だとし
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
こんなことを言われる時、短くして後ろきにしてしまった額髪に手が行って、心細い気になると自然に物思いをするようになります。忍んでももう涙を一度流せばあとは始終泣くことになります。
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そして彼の胸中には、事件を解決するたびに経験するあのっぱい悒鬱ゆううつが、また例の調子でのぼってくるのであった。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そう駿すんえんのうの間に流行し、昨年中は西は京阪より山陽、南海、西国まで蔓延まんえんし、東はぼうそうじょうしんの諸州にも伝播でんぱし、当年に至りてはおう州に漸入するを見る。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
けだし、そのはじめて起こりし地は州にして、その地よりコックリの報道を得たるは一昨年にあり。その後数カ月を経て、尾濃、京阪の間に行わるるを聞き、同時に房総諸州に蔓延まんえんせるを見る。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
わが背子に恋ひてすべなみ春雨の降るわきしらいでてこしかも (巻十、春相聞)
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
青柳の糸の細さを春風に乱れ今に見せむ子もが (同)
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
けれども、是からさきのしんふわい心配/\ちりとり塵取ににてもかきのけられず、かまでもくわでもはらハれず、いぶん/\せいだしてながいをとし御年をくりなよ。
はとかく邪魔がはいる——人の世の習いとやら。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
松王まつおうと行逢ひ、附け廻りにて下手にかはる、松王が「ありのはひる」といふ処「相がうがかはる」などという処にて思入し、「身替のにせ首」にて腹に応へし模様見え「玄蕃げんばが権柄」にてはつと刀をさし
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
品も新らしいように奇麗で、みんな初版りだったから、表紙絵の色りも美事だった。
大日如来くだんの四仏を供養せんとてこうとうの四菩薩を流出す(外四供養そとのしくよう)、とは、〈不空成就仏、塗香を以て供養す、釈迦穢土に出で、衆生を利益せんと、濁乱の境界に親近す
と見れば貧民の童男、童女どうにょ、多人老婦人の身辺にありて、物珍しげに天窓より爪先つまさきまでじろりじろり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今や/\と待程に其後岡山侯よりむかへの人來り大名だいみやう小路こうぢの上屋敷へ三人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
適度の無精髭を蓄えて、ゆったりとした厚地の服に、洗濯の行き届いた縞シャツを着て、始終ネクタイをゆるく横っちょにらかし加減にして、百姓持ちの様な大きな煙管を銜えることにした。
一枚きの、いはゆるキラズと呼ぶ和紙数枚にしたためた行書であつたが、その見事さは、いきなり若いわたしの心を打ち、わたしは数金を投じてただちにこれを額に仕立てずにはゐられなかつた。
秋艸道人の書について (新字旧仮名) / 吉野秀雄(著)
けてそこんですこ白味しろみびて、とろ/\としかきしとすれ/″\に滿々まん/\たゝへた古沼ふるぬまですもの。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
娘の眼はその瞬間にやさしいるさを、その可愛げな頬ににっとうかべた。——眠元朗はちくりと胸をされたような気がした。かるい不快が伴うた気分だった。
みずうみ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
それから今度はなお膝まずいたままで、一本の挺子てこのようなものに、全身の重さと力をかけて、捻じ廻すような、りつけるような音もたてたが、最後にやはり大きな音を立てて、この仕事も終った。
そういう相手を高倉は引きるのだ。雲斎織りの上ッぱりはかぱかぱに凍っていた。その前襟をわしづかみにしてずるずると穴にはいって行った。さかく風が粉雪をあびせかけた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
死なぬ者が、かえってっているのだ。細川家の人々は皆、足を浮かしていた。あわてて煙草盆をそこへ運んで行った日頃なじみの小坊主は
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お化けくらゐは三杯で喰ひさうな、あの達者な妾のお吉が、裸體はだかで不忍の池に飛び込んで死んでゐるから驚くぢやありませんか」