“梳”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
57.3%
くしけず24.1%
4.5%
くしけづ3.5%
くしけ2.0%
1.5%
くし1.5%
けず1.5%
1.0%
すき1.0%
1.0%
けづ0.5%
とか0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
金色の髪は、耳朶を掠めて頬を流れ、丸い玉のような肩に崩れ落ちた。それを左の手でそっとき、また右の手でゆっくりと梳いた。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
五十くらいの田舎女の取り出してりに髪るをどちらまでと問えば「京まで行くのでがんす。息子が来いと云いますのでなあ」
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
びっくりして鏡に向かって髪をきつけ、例のごとく裸になりますと、その時わたしは思わずもひやっという叫び声を上げました。
メデューサの首 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「二毛暁に落ちて頭をることし、両眼春くして薬を点ずることりなり」「く酒を傾けてに入るべし、酔うて倒るゝも何ぞ妨げん」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
わずか半日半夜のうちに、十二の夏疫痢で死んで行った娘の畳の上まで引いた豊かな髪を、味気ない気持で妻がいとおしげにずってやっていたのも、その一室であった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ひとりひとりへ会釈をして、であげるの毛にを白く、ツイと立ったかと思うと、その痛ましい足どりの影へ——
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
快くけずられてゆく長いたっぷりした髪を背中にさばいて、濡縁のところで涼んでいると、何心なく持っていた手鏡の中に小さく月がうつっている。
鏡の中の月 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
つた羊毛は先づ長い小房に分けられる。そして此の房の一つをぐる/\廻つてゐるのそばへ持つて行く。鈎は其の羊毛を掴んで廻りながら其の繊維を一本の糸にる。
髪も少し濡れたとみえて、ほつれ毛のが、象牙の白さへペッタリとついているのを、指でいて櫛巻の根へなでつけながら
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
門番の教へてれた第二階へ昇つてぐ左の突当りののある鈴を押すと、髪を綺麗に分けた白い夏服の下部が出て来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
非常に年は取っているが、昔の日に美しかった名残の髪を切り捨て後ろきの尼額になったために、かえって少し若く見え雅味があるようにも思われた。
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ここにその樂の日になりて、童女の髮のごとその結はせる髮をり垂れ、その御衣御裳して、既に童女の姿になりて、女人の中に交り立ちて、その室内に入ります。
象牙をもむく色白の額ぎわで巾の狭い緋の抹額を締めていたが、その下から美しい鶉色で、しかも白く光る濃い頭髪を叮嚀にしたのがこぼれでて、二ツの半円を描いて、左右に別れていた。
あいびき (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)