“梳”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
す56.9%
くしけず23.8%
と4.5%
くしけづ4.0%
くしけ2.0%
な1.5%
くし1.5%
けず1.5%
か1.0%
けづ1.0%
すき1.0%
ず1.0%
とか0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
金色の髪は、耳朶(みみたぶ)を掠めて頬を流れ、丸い玉のような肩に崩れ落ちた。それを左の手でそっと梳(す)き、また右の手でゆっくりと梳いた。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
五十くらいの田舎女の櫛(くし)取り出して頻(しき)りに髪梳(くしけず)るをどちらまでと問えば「京まで行くのでがんす。息子が来いと云いますのでなあ」
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
びっくりして鏡に向かって髪を梳(と)きつけ、例のごとく裸になりますと、その時わたしは思わずもひやっという叫び声を上げました。
メデューサの首 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「二毛暁に落ちて頭を梳(くしけづ)ること懶(ものう)し、両眼春昏(くら)くして薬を点ずること頻(しき)りなり」「須(すべから)く酒を傾けて膓(はらわた)に入るべし、酔うて倒るゝも亦(また)何ぞ妨げん」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
わずか半日半夜のうちに、十二の夏疫痢(えきり)で死んで行った娘の畳の上まで引いた豊かな髪を、味気ない気持で妻がいとおしげに梳(くしけ)ずってやっていたのも、その一室であった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ひとりひとりへ会釈(えしゃく)をして、梳(な)であげる鬢(びん)の毛に肱(ひじ)を白く、ツイと立ったかと思うと、その痛ましい足どりの影へ——
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
快く梳(くし)けずられてゆく長いたっぷりした髪を背中にさばいて、濡縁のところで涼んでいると、何心なく持っていた手鏡の中に小さく月がうつっている。
鏡の中の月 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
梳(けず)つた羊毛は先づ長い小房に分けられる。そして此の房の一つをぐる/\廻つてゐる鈎(かぎ)のそばへ持つて行く。鈎は其の羊毛を掴んで廻りながら其の繊維を一本の糸に捩(よ)る。
髪も少し濡れたとみえて、ほつれ毛の渦(うず)が、象牙(ぞうげ)の白さへペッタリとついているのを、指で梳(か)いて櫛巻(くしまき)の根へなでつけながら
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここにその樂の日になりて、童女(をとめ)の髮のごとその結はせる髮を梳(けづ)り垂れ、その姨(みをば)の御衣(みそ)御裳(みも)を服(け)して、既に童女の姿になりて、女人(をみな)の中に交り立ちて、その室内(むろぬち)に入ります。
門番の教へて呉(く)れた儘(まゝ)第二階へ昇つて直(す)ぐ左の突当りの扉(と)のある鈴を押すと、髪を綺麗に梳(すき)分けた白い夏服の下部(ギヤルソン)が出て来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
非常に年は取っているが、昔の日に美しかった名残(なごり)の髪を切り捨て後ろ梳(ず)きの尼額になったために、かえって少し若く見え雅味があるようにも思われた。
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
象牙をも欺(あざ)むく色白の額ぎわで巾の狭い緋の抹額(もこう)を締めていたが、その下から美しい鶉色(うずらいろ)で、しかも白く光る濃い頭髪を叮嚀に梳(とか)したのがこぼれでて、二ツの半円を描いて、左右に別れていた。
あいびき (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)