)” の例文
わざわざ遠廻りしてまで他所よその風呂へ行くといった様に、いきおい、それはきのことではあるけれど、噂で持ちきっていたものである。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とうさんが玄關げんくわんひろいたて、そのをさおときながらあそんでりますと、そこへもよくめづらしいものきのすずめのぞきにました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そのうへ個人こじんには特殊とくしゆ性癖せいへきがあつて、所謂いはゆるきらひがあり、かふこのところおつきらところであり、所謂いはゆるたでむしきである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
飲むのよりも珍しものきの私が見たこともないやうないろいろの色をして交つたつゝみだの小箱だのが私の所有になつたのが嬉しいのである。
六日間:(日記) (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
新客きで、だ見ぬ客の前に膳を持つて行く事の好きなお米さへ、三田の御給仕は二三度で懲りて、成る可く外の者に讓る事にしてゐる。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
らくになつたとおよろこびなさろうか、れともをりふしははなきの饒舌おしやべりのさわがしいひとなくなつたで、すこしはさびしいくらゐおもしてくださろうか
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いくらかわらまじりにこたへられながらも、さすがにばくちきな支那人しなじんだ、おそろしくつた、洒落しやれもの使つかふなアぐらゐにほとほと感心かんしんしてゐたやうな程度ていど
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そぞろあるきの見物はプロマイド屋の店さきにたつ心と、しばいきと、合せて絵画の観賞者でもあるのだ。
田舎いなかの青年に多く見るような非常に熱心な文学きで、雑誌という雑誌はたいてい取って、初めはいろいろな投書をして、自分の号の活字になるのを喜んでいたが
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
今日けふおそくなるとか云つてことわつてゐた。此間このあひだから演芸会の事で大分奔走してゐる様だが、世話きなんだか、まはる事がきなんだか、一向要領を得ない男だ」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
きれいきな、おとこやもめのおじいさんは、いえうちをちりひとつないようにきよめていました。おじいさんは、なにをたずねられても、らぬといったことはありません。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それならば今日生徒に教えた、De gustibus non est Disputandum である。たでう虫も好ききである。実験したければして見るがい。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
貧乏びんぼうだったので、いろいろの道具類どうぐるいは、みんな古道具屋から買い入れたのでしたが、きれいきな主人は、何でもきちんとかたづけ、ぴかぴかとみがいて、小ぎれいにさっぱりとしておきました。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
お民は此のカッフェーの給仕女の中では文学きだと言われていた。
申訳 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
好い天気が続くので下宿の窓から眺めて居ると、彼方此方あちらこちらの家で大掃除がはじま色色いろいろの洗濯物が干される。寝台ねだいの藁蒲団までが日に当てられる。一体に巴里パリイの女の掃除きな事は京都の女と似て居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「あの婆アさんは話ツきヤぜ。」
で、それほどばくちきな支那人しなじん工夫くふう考案かうあんしたものだけに、麻雀マアジヤンほど魅力みりよくのある、かんじのいい、くことをらないあそびはまア世界せかいにもあるまいかとおもはれる。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
一寸ちよつと聞くと丸で頑是がんぜない小供の云ひさうな事であるが、よし子の意味はもう少し深い所にあつた。研究心の強い学問きの人は、万事を研究する気で見るから、情愛が薄くなる訳である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この日の夕飯は食堂のも日本料理なれば彼処かしこで給へとの人の言葉をそむくも少し憎げなりと思ひさふらふうへ、物ごゝろも進みさふらひけん、私は船にさふらうてのち初めての洋装を致して下へ参りさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
とはむかうの消息通せうそくつうぼくかせたことばだが、ばくちきで、またばくちの天才てんさい支那人しなじんだけに麻雀道マアジヤンだうおいてもなかにはおそろしい詐欺さぎ、いんちきをくはだてるものが可成かなりあるらしい。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
三四郎は元来あまり運動きではない。くにに居るとき兎狩うさぎがりを二三度した事がある。それから高等学校の端艇ボート競争のときに旗振はたふりの役を勤めた事がある。其時青と赤と間違へて振つて大変苦情が出た。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あさ半日はんにちをアトリエにこもつたをつとには二人ふたり子供こども快活くわいくわつ笑聲わらひごゑててゐた長女ちやうぢよ夏繪なつゑと四つになる長男ちやうなん敏樹としきと、子供こどもきのをつと氣持きもちよく仕事しごとはこんだあとでひどく上機嫌じやうきげんだつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)