“旗振”の読み方と例文
読み方割合
はたふり100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
十字路ごとに巡査が立つて電車の旗振はたふりの代りと通行人の警戒とに当つて居る。旗を振るのでなく、赤い鉢巻をした、背の高い、目の光つた印度インド人の巡査が直立して無言のまゝ静かに片手をあげばかりだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
三四郎は元来あまり運動きではない。くにに居るとき兎狩うさぎがりを二三度した事がある。それから高等学校の端艇ボート競争のときに旗振はたふりの役を勤めた事がある。其時青と赤と間違へて振つて大変苦情が出た。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
旗振はたふりの着るヘル地の織目は、ほこりがいっぱい溜って、黄色にぼけている。古本屋から洋服が出て来る。鳥打帽が寄席よせの前に立っている。今晩の語り物が塗板に白くかいてある。空は針線はりがねだらけである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)