夥しい煤煙の爲めに、年中どんよりした感じのする大阪の空も、初夏の頃は藍の色を濃くして、浮雲も白く光り始めた。 泥臭い水ではあるが、その空の色をありありと映す川は、水嵩も増して、躍るやうなさざ波を立てゝ流れて居る。 川岸の御旅館醉月の二階の縁 …
| 著者 | 水上滝太郎 |
| ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
| 初出 | 「女性」大阪プラトン社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年6月 |
| 文字種別 | 旧字旧仮名 |
| 読書目安時間 | 約4時間8分(500文字/分) |
| 朗読目安時間 | 約6時間53分(300文字/分) |