“石鹸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
せっけん42.6%
シャボン21.7%
しやぼん15.7%
しゃぼん9.6%
シヤボン5.2%
せつけん1.7%
さぼん0.9%
せきけん0.9%
サボン0.9%
モダ0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
石鹸という言葉もまだなかったほどの時だ。くれる飯田の商人も、もらう妻籠のおばあさんも、シャボンという名さえ知らなかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
下女は先刻洗濯石鹸を買いに出た。細君はりである。すると取次に出べきものは吾輩だけになる。吾輩だって出るのはいやだ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「さあ、愈々出世の手蔓が出来かかつたぞ。明日は一つあの殿様のお顔を、舶来石鹸のやうにつるつるに剃り上げて呉れるんだな。」
御作さんは、すぐ台所の方へ取って返して、楊枝歯磨石鹸手拭めにして、さあ、早く行っていらっしゃい、と旦那に渡した。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
君だから内幕を話すが二銭に三箇石鹸ナ。あれは一百一貫の品だ。一と晩に一百売ると五貫余儲かる、夏向になると二百や三百は瞬く間に売れる。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
それは唯はた目には石鹸歯磨きを売る行商だつた。しかし武さんはさへ食へれば、滅多に荷を背負つて出かけたことはなかつた。
素描三題 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼は Raxa の「まんと」の「ぼたん」をかけていた。彼女は「石鹸」で洗ったばかりの「かなきん」の襦袢「Jibão」に、「びろうど」Veludo の着物をきていた。
小六圖書館つて留守だつた。宗助手拭石鹸つてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
客は両替で換えて来た「灰色の石鹸」——大きな金額の丸札——をそのまま賭けてもよし、細かいのが欲しければクルウピエが同額だけの小さな「ぼたん」に崩してくれる。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
田舎へひっこんで鬚剃の石鹸溶しでコオフィを飲むような実誼な暮しをし、この世の欲という欲はみななくなったつもりでいたが、肉親のオブセッション(執着)は手のつけられないもので
復活祭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)