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石鹸
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シャボン
ふりがな文庫
“
石鹸
(
シャボン
)” の例文
下女は
先刻
(
さっき
)
洗濯
(
せんたく
)
石鹸
(
シャボン
)
を買いに出た。細君は
憚
(
はばか
)
りである。すると取次に出べきものは吾輩だけになる。吾輩だって出るのはいやだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「えゝ奥様はお出でゞございましょうか。手前は苦学生でございますが、何かお
石鹸
(
シャボン
)
香水の類に御用がございましたらお
購求
(
もとめ
)
を願います。」
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は一度だけ白波と血との
石鹸
(
シャボン
)
泡のようになった水面へ浮び上ったが、それからまた沈んで、それっきり浮き上らなかった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
それで、きっと貴方は、私が
嚥
(
の
)
んだ
檸檬水
(
レモナーデ
)
の
麦藁
(
ストロー
)
から、
石鹸
(
シャボン
)
玉が飛び出したとでも……。いいえ私は、
麦藁
(
ストロー
)
を束にして吸うのが習慣なのでございますわ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「僕が仇討ちの為めに
流浪
(
るろう
)
していることを知っていたんだ。野口君、君の辞令を見た日から僕は
石鹸
(
シャボン
)
で首を洗って待っていたと昔と同じ積りで冗談を言うんだ」
首切り問答
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
そうして
良
(
い
)
い加減、暖たまったところで立ち上るとすぐに、私を流し場の
板片
(
いたぎれ
)
の上に引っぱり出して、前後左右から冷めたい
石鹸
(
シャボン
)
とスポンジを押し付けながら
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
石鹸
(
シャボン
)
を巻いた
手拭
(
てぬぐい
)
を持ったままで、そっと
階子段
(
はしごだん
)
の下へ行くと、お源は
扉
(
ひらき
)
に
附着
(
くッつ
)
いて、一心に聞いていた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのまゝ、かれは、手拭と
石鹸
(
シャボン
)
を西崎にわたして茶の間へ入った。
金神
(
こんじん
)
さまのまえに一寸手を合せ、すぐに長火鉢のまえの、友禅の大きな蒲団のうえにすわった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
軽い朝風の
膚
(
はだ
)
ざわりは
爽快
(
そうかい
)
だったが、太陽の光熱は強く、高原の夏らしい感じだった。そうしているうちに加世子も女中と一緒に、タオルや
石鹸
(
シャボン
)
をもって降りて来た。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
石鹸
(
シャボン
)
玉
泡沫
(
ほうまつ
)
夢幻
(
むげん
)
の世に楽を
為
(
せ
)
では損と帳場の金を
攫
(
つか
)
み出して
御歯涅
(
おはぐろ
)
溝
(
どぶ
)
の水と流す息子なりしとかや。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それから毛が汚れて
穢
(
きたな
)
くなつたと言つて、嫌がるやつを無理に
盥
(
たらひ
)
に入れて、
石鹸
(
シャボン
)
をつけてごし/\洗つて遣ると、鼻をクンクン言はせながら鳴き騒いだことを覚えて居る。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
硝子
(
ガラス
)
棚、バリカン、廻転椅子、カバーの白白白、立ち廻る理髪師の背広の、ズボンの白、掻き立てなすりつけた客の頬や
頤
(
あご
)
の
石鹸
(
シャボン
)
の白、
琥珀
(
こはく
)
の香水、
剃刀
(
かみそり
)
の光、鋏のチャキチャキ
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
柴山は、「海だよ」と答えてくれました。ぼくも
船板
(
ふなばた
)
から、見下ろした。真したにはすこし風の強いため、
舷側
(
げんそく
)
に
砕
(
くだ
)
ける
浪
(
なみ
)
が、まるで
石鹸
(
シャボン
)
のように
泡
(
あわ
)
だち、
沸騰
(
ふっとう
)
して、飛んでいました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
昨日
(
きのう
)
などもお風呂をつかっている最中にこの
石鹸
(
シャボン
)
は臭いからいやだなんて、愚図り出して、そこらじゅう水だらけにして跳ね廻ったあげく、腹を立ててすっかりその
石鹸
(
シャボン
)
を喰べてしまったのよ。
ノンシャラン道中記:08 燕尾服の自殺 ――ブルゴオニュの葡萄祭り――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
いう迄もなく、博士は、患者の腕を煮て
石鹸
(
シャボン
)
を作ったのである。
二重人格者
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
石鹸
(
シャボン
)
のあぶくのようなざまだ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
出がけに御邪魔でもこれをお持ちなさいと云って細長い箱をくれたから、何だろうと思って、即座に開けて見ると、
石鹸
(
シャボン
)
が三つ並んでいた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
輝く
膚
(
はだ
)
を
露呈
(
あらわ
)
して、再び、あの
淡紅色
(
ときいろ
)
の
紗綾形
(
さやがた
)
の、品よく和やかに、情ありげな背負揚が解け、襟が開け緋が乱れて、
石鹸
(
シャボン
)
の香を聞いてさえ、身に
沁
(
し
)
みた雪を
欺
(
あざむ
)
く肩を、胸を
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
主人は打水を
了
(
お
)
えて後満足げに庭の面を見わたしたが、やがて足を洗って
下駄
(
げた
)
をはくかとおもうとすぐに下女を
呼
(
よ
)
んで、
手拭
(
てぬぐい
)
、
石鹸
(
シャボン
)
、湯銭等を取り来らしめて湯へいってしまった。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
やがて蓮太郎はそこに在る
石鹸
(
シャボン
)
を溶いて丑松の背中へつけて遣り乍ら
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ふうん」とその父は乱れた髪の毛を
石鹸
(
シャボン
)
で洗いかける。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
「湯に行くから
石鹸
(
シャボン
)
や何か階下へ出しときねえ。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
二人は並んで
石鹸
(
シャボン
)
をつかっていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
敬太郎が
石鹸
(
シャボン
)
を
塗
(
つ
)
けた頭をごしごしいわしたり、堅い足の裏や指の股を
擦
(
こす
)
ったりする間、森本は依然として胡座をかいたまま、どこ一つ洗う
気色
(
けしき
)
は見えなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助が机の前の
座蒲団
(
ざぶとん
)
を引き寄せて、その上に
楽々
(
らくらく
)
と
胡坐
(
あぐら
)
を
掻
(
か
)
いた時、手拭と
石鹸
(
シャボン
)
を受取った御米は
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こちらの方では
小桶
(
こおけ
)
を慾張って三つ抱え込んだ男が、隣りの人に
石鹸
(
シャボン
)
を使え使えと云いながらしきりに長談議をしている。何だろうと聞いて見るとこんな事を言っていた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
うちの主人は時々手拭と
石鹸
(
シャボン
)
をもって
飄然
(
ひょうぜん
)
といずれへか出て行く事がある、三四十分して帰ったところを見ると彼の
朦朧
(
もうろう
)
たる
顔色
(
がんしょく
)
が少しは活気を帯びて、晴れやかに見える。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども人の足音はどこにも
聴
(
きこ
)
えなかった。用事で
往来
(
ゆきき
)
をする下女の姿も見えなかった。手拭と
石鹸
(
シャボン
)
をそこへ置いた津田は、
宅
(
うち
)
の書斎でお延を呼ぶ時のように手を鳴らして見た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして頭の中で、自分の下宿にいた法科大学生が、ちょっと散歩に出るついでに、資生堂へ寄って、三つ入りの
石鹸
(
シャボン
)
と歯磨を買うのにさえ、五円近くの金を払う
華奢
(
かしゃ
)
を思い浮べた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分が物新しそうにシェーヴィング・ブラッシを振り廻して、
石鹸
(
シャボン
)
の泡で顔中を真白にしていると、
先刻
(
さっき
)
から
傍
(
そば
)
に坐ってこの様子を見ていたお重は、ワッと云う悲劇的な声をふり上げて泣き出した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助は
手拭
(
てぬぐい
)
と
石鹸
(
シャボン
)
を持って外へ出た。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“石鹸”の解説
石鹸(石鹼、せっけん、シャボン、pt: sabão、es: jabón)は、一般に汚れ落としの洗浄剤を示す語である。また高級脂肪酸のの総称である。
一般用語としての石鹸と化学用語としての石鹸は重なり合うことが多いが、化学的には石鹸ではないものが一般的に石鹸と呼ばれている場合や、その逆の場合がある。
(出典:Wikipedia)
石
常用漢字
小1
部首:⽯
5画
鹸
漢検準1級
部首:⿄
19画
“石鹸”で始まる語句
石鹸玉
石鹸箱
石鹸入
石鹸函
石鹸球
石鹸天
石鹸泡
石鹸石