石鹸シヤボン)” の例文
君だから内幕を話すが二銭に三箇みつゝ石鹸シヤボンナ。あれは一百いつそく一貫の品だ。一と晩に一百売ると五貫余儲かる、夏向になると二百や三百は瞬く間に売れる。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
良人をつと仏蘭西フランス語でドクトル近江あふみの住所は何処どこかと尋ねて居ると、その時偶然隣の扉をけて黄八丈の日本寝巻ねまきまゝ石鹸シヤボンの箱と手拭とをながら現れた人は近江さんであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
父の背に石鹸シヤボンつけつつ母のこと吾がいてゐる月夜こほろぎ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
半分は石鹸シヤボンのあぶくだらけの顏で振向いて返事をしたが
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
手拭、垢擦あかすり、炭(ほうの木)、軽石、糠、石鹸シヤボン糸瓜へちま
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何かしら石鹸シヤボンが光つて見えるのだ、さうして
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
石鹸シヤボンの泡に似て小さく、むらがり青むある花は
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)