“情人”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いろ36.7%
いいひと15.2%
おとこ8.9%
じょうじん7.6%
いろおとこ5.1%
いゝひと3.8%
ひと3.8%
じょうにん3.8%
おもいびと2.5%
をとこ1.3%
おもいもの1.3%
こひびと1.3%
こひゞと1.3%
じゃうじん1.3%
まぶ1.3%
アミ1.3%
アミイ1.3%
ヤネ1.3%
ラヴ1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「飛んだ久松の孫右衛門さ。旦那のいねえ夜を合図で知らせて、引っ張り込んでた情人いろあ誰だ? ちょくに申し上げた方が為だろうぜ。」
「偉そうなこと云ってもだめよ、悠ちゃんなんか、梅干の種を鼻の穴じゃないの、——くやしかったら芸妓の情人いいひとでもつくってごらんなさい」
桑の木物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
お鳥はひやっこい台所の板敷きに、ふくはぎのだぶだぶした脚を投げ出して、また浅草で関係していた情人おとこのことを言いだした。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
対手さき懺悔ざんげをしたんですが、身分を思うから名は言いますまい。……貴婦人は十八九で、もう六七人情人じょうじんがありました。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三日ばかり間を置いて、お宮が病気で休んでいるという葉書をよこしたので、私は親切だてに好い情人いろおとこ気取りで見舞かたがた顔を見にいった。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「いゝかい、北君はあらゆる男の情人いゝひとになるんだよ。己も一度は万人の情人になりたかつたけれど、結局、お前一人の情人になつてしまつたよ。」
二人の男 (新字旧仮名) / 島田清次郎(著)
花里さんのくのは瀬川さんたア一緒にならないわ、あんなに血道をあげてる伊之さんてえ情人ひとがあるんだから、海上さんは踏台にされるに違いないのよ
してみると、この女の情人じょうにんか、あるじかは、長崎の方に知行所を持つ武家か、縁のある男と見て、大体、間違いはあるまい
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お殿様と云う立派な情人おもいびとがおありなさること故、そのようなことをして、自分の心を慰めずとも、よかりそうなものではござりませぬか。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あのやうな面皰だらけの野猿坊やゑんばうみたいなもんでも、近頃情人をとこ出來でけてあつたさうで、そやつに唆かされて惡心がきざしたものと見えます。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
以前は幸七の情人おもいもので、一時囲われたことのある小唄の師匠お栄と懇意になり、その滑らかな舌に焚きつけられて、刷毛ついでに恋敵の幸七も殺す気になったのでした。
ほほ、わすられぬ情人こひびと
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
清十郎(即ちお夏の情人こひゞと)が大坂より戻り来りたる事を次に出して、「目と目を合はする二人ふたりなか、無事な顔見て嬉いと、心に心を言はせたり」と有処あるところにて、更に両人の情愛の秘密を示せり。
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
張順は中庭へ潜んでうかがッていた。情人まぶでもないらしいが、酒肴さけさかなが運ばれてゆく。客はつまりこわもての客とみえ、婆やもなかなか気をつかっている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
読者諸君はすでに御承知であろう、岩井は村雲笑子を妾にして「巴里」という酒場を出させながら、一方踏絵をも情人アミにしている。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
岩井通保の秘密の情人アミイ、当時売出しのダンサー川俣踏絵そのひとであった。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
情人ヤネが髮結ふてつとるばん。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
雪江さんのかおばかり見ていると、いつしか私は現実を離れて、恍惚うっとりとなって、雪江さんが何だか私の……さいでもない、情人ラヴでもない……何だか斯う其様そんなような者に思われて
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)