“おとこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オトコ
語句割合
61.0%
情夫11.1%
8.0%
男子6.1%
男性2.7%
情人1.9%
侠客1.3%
丈夫1.3%
男児0.8%
漢子0.8%
好漢0.5%
臥床0.5%
0.5%
下僕0.3%
乙子0.3%
侠気0.3%
僮僕0.3%
壮漢0.3%
寺僕0.3%
寺男0.3%
情男0.3%
愛人0.3%
於菟子0.3%
0.3%
0.3%
雇男0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ラプンツェルは、まだ一も、おとこというものをたことがなかったので、いま王子おうじはいってたのをると、はじめは大変たいへんおどろきました。
「そちも聞いているはず。幼少から仕えている西華門院せいかもんいんのお内を、情夫おとこゆえに逃げ退いて、女院のお名にまでご迷惑をかけたみだらもの
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
窓の外の雪を見ていると、不意に引戸がガラリとあいて、はなはだ荒々しい人の足音。同時に裸体を現わした甚だ大きなおとこと、さまで大きからぬ男。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「おまえさんの壮年としで、独身ひとりみで、情婦がないなんて、ほんとに男子おとこ恥辱はじだよ。私が似合わしいのを一人世話してあげようか」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一芸を立て通すとなれば男性おとこの方でもそうに違いないが、殊に女性だとより以上に意志が強くないと駄目だと思います。
達次郎たつじろう——それが房枝の若い情人おとこの名前だったのだが、この男も、どうしたのか、今夜は店先へも顔を出さなかった。
銀座幽霊 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
なんしろ侠客おとこだとか何とかいわれる分では、お米に届かねえ点が十分にあったんですから、こりゃ力ずく、腕ずくじゃあ不可いけませんや、伝の親仁おやじ大凹み。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それに少弐しょうにの太郎頼尚は、かならず戻ると言って上陸あがって行った。彼の容子にどこか憂いが見えぬでもないが、二心ない丈夫おとこと尊氏は見込んでおる。まずもすこし待ってみるがいい
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとこわいことは一厘ないが強いばかりが男児おとこではないなあ、ハハハ、じっと堪忍がまんして無理に弱くなるのも男児だ、ああ立派な男児だ、五重塔は名誉の工事しごと
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
胴づまりで肥った漢子おとこの、みじめなのが抜衣紋ぬきえもんになって、路地口の肴屋さかなやで、自分の見立てで、そのまぐろを刺身に、とあつらえ、塩鮭の切身を竹の皮でぶら下げてくれた厚情こころざしあだにしては済まないが
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すっきり端然しゃんと構えたる風姿ようだいといい面貌きりょうといい水際立ったる男振り、万人が万人とも好かずには居られまじき天晴あっぱれ小気味のよき好漢おとこなり。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
『マア臥床おとこまで延べて下すつて、済まなかつたわ、小母をばさん。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
○さて堂内人さんじて後、かの山長やまをとこ堂内に苧幹をがらをちらしおく㕝れいなり。翌朝よくてうおとこ神酒みき供物くもつそなふ、うしろさまにすゝみさゝぐ、正面にすゝむを神のいみ給ふと也。
はげしき下知に致方いたしかたなく、家の下僕おとこたちがばら/\/\と權六の傍へ来て見ますと、權六は少しも驚く気色もなく、縁側へどっさりと腰を掛けまして作左衞門の顔をしげ/\と見て居りましたが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
筑前甘木あまぎの町の乙子おとこ市、すなわち十二月最終の市日にも、山姥が出るという話が古くからあった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おおそうならば我がすると得たりかしこで引き受けては、上人様にも恥かしく第一源太がせっかくみがいた侠気おとこもそこですたってしまうし、汝はもとより虻蜂あぶはち取らず、知恵のないにもほどのあるもの
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
其声それよりでかき声をいだして馬鹿めとののしりながら為右衛門ずかずかと立ち出で、僮僕おとこどもこの狂漢きちがいを門外に引きいだせ、騒々しきを嫌いたまう上人様に知れなば、我らがこやつのために叱らるべしとの下知げじ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
旅によごれた浪人風の壮漢おとこが、腰掛けに腰かけもしないで、いきなり、江戸で人を捜すのだが、誰か顔のひろい人はないかときくので、おどろいていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
心得ましたと先刻さきより僕人部屋おとこべやころがりいし寺僕おとこら立ちかかり引き出さんとする、土間に坐り込んでいだされじとする十兵衛。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御子息、それならば、おしずかに。……ああ、上のその木戸はの、錠、鍵も、がさがさと壊れています。開けたままでよろしい。あとで寺男おとこが直しますでの。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いいえお姉様お聞き遊ばせよ。これからが面白いのでございますもの。——許婚のある佐久良姫さくらひめがその許婚を恐ろしいとも思わず恋しい恋しい情男おとこのもとへ忍んで行くところでございますもの」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
お雪はその場合、死のうといわれたら、当惑するには違いなかったでもあろうが、そんなふうに、愛人おとこが理智的にいってくれるのが、突っぱなされたようにさびしかった。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
他の犬士の物語と比べて人間味が著しく稀薄であるが、殊に京都の物語は巽風そんふう於菟子おとこの一節を除いては極めて空虚な少年武勇伝である。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
おとこの猿、おんなの猿、子を抱いた猿、老いたる猿——猿の数は千にも余るであろうか、ことごとく地にひざまずき、王なる卯ノ丸の真似まねをして、胸に両手を合せていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
喜二郎の郎がなければ、喜二、すなわちキジ、鳥のきじに字音が通じます。そこで雉子きじ雉子きじケンケンおとこを落としたという評判が立ちました。そんなことがあっては武士の名折れでございます
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
別荘と畑一つ隔たりて牛乳屋ちちやあり、かしの木に取り囲まれし二棟ふたむねは右なるに牛七匹住み、左なるに人五人住みつ、夫婦に小供こども二人ふたり一人ひとり雇男おとこ配達人はいたつなり。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)