侠客おとこ)” の例文
街道では林蔵と猪之松とが、遠巻きに見物の群を置き、どちらも負けられない侠客おとこと侠客との試合それも真剣の果し合いの、白刃を互いに構えていた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
なんしろ侠客おとこだとか何とかいわれる分では、お米に届かねえ点が十分にあったんですから、こりゃ力ずく、腕ずくじゃあ不可いけませんや、伝の親仁おやじ大凹み。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御恩をあだで返すようなものだと思い直しまして、うしようかと案じて居ります矢先、御当家の御子息さんから、近頃私のうちの隠居所に島から帰った侠客おとこがいると聞いたことを思い出しまして
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一番、このをかつぎ込んで、奴が平生侠客おとこぶるのを附目にして、ぎゅうと謂わそう。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みょう夕景に何卒なにとぞ吾が隠れ家へ御出で下さればお別れの酒盃さかずきを頂いて、臓腑を洗い清めて山をくだりたい、坊主になった姿を見て貴方喜んで下さい、我等もお顔を見てちたいと云ったら、侠客おとこじゃなア
末永く力に成って下さるよう、貴方を侠客おとこと見掛けて願いまする