おとこ)” の例文
まちなかで、かごからひばりをして、みんなにせながら、あめをおとこがありました。そのおとこると、あそんでいる子供こどもたちは
ひばりのおじさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ラプンツェルは、まだ一も、おとこというものをたことがなかったので、いま王子おうじはいってたのをると、はじめは大変たいへんおどろきました。
かぞどしの二つにしかならないおとこであるが、あのきかない光子みつこさんにくらべたら、これはまたなんというおとなしいものだろう。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
此上このうへにおたのみは萬々ばん/″\見送みおくりなどしてくださるな、さらでだにおとこ朋友ともだち手前てまへもあるになにかをかしくられてもおたがひつまらず
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それから早速さっそくひとたのんで、だんだん先方せんぽう身元みもとしらべてると、生憎あいにくおとこほう一人ひとり息子むすこで、とても養子ようしにはかれない身分みぶんなのでした。
「およそ人心じんしんうちえてきのこと、夢寐むびあらわれず、昔人せきじんう、おとこむをゆめみず、おんなさいめとるをゆめみず、このげんまことしかり」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
おおかぶさってるまゆ山羊やぎのようで、あかはな仏頂面ぶっちょうづらたかくはないがせて節塊立ふしくれだって、どこにかこう一くせありそうなおとこ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「おまえさんより、おんなだもの。あたしのほうが、どんなにいやだかれやしない。——むかしッから、公事くじかけあいは、みんなおとこのつとめなんだよ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
八幡太郎義家はちまんたろうよしいえから三だいめの源氏げんじ大将たいしょう六条判官為義ろくじょうほうがんためよしといいました。為義ためよしはたいそうな子福者こぶくしゃで、おとこ子供こどもだけでも十四五にんもありました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
下男げなんおとこ使用人しようにん)が病気びょうきになれば、みずくみもしました。女中じょちゅうおんなのおてつだいさん)にさしつかえがあれば、台所だいどころのてつだいもしました。
なにしろこりゃおとこだもの、きりょうなんかたいしたことじゃないさ。いまつよくなって、しっかり自分じぶんをまもるようになる。」
その風采ふうさい餘程よほどちがつてるが相變あひかはらず洒々落々しや/\らく/\おとこ『ヤァ、柳川君やながはくんか、これはめづらしい、めづらしい。』としたにもかぬ待遇もてなしわたくししんからうれしかつたよ。
こえをかけられました。ふりかえってると、七さいくらいの、かわいらしいおとこうしをつれてっていました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「上品な、どこかの、若殿様でもあるようなおとこで、お忍び遊びという寸法らしく、黒縮緬くろちりめん頭巾ずきんをかぶったまま、酒をのんでいたというんです」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今は同じ女があだおとこに身を任せると誓いを立てたのを聞いて、やはりそのままで置く竜之助の気が知れない。
あの金魚好きんぎょずきなおとこに、金魚屋きんぎょやのことを調しらべさせるのも、ちよつと面白おもしろい、とおもつただけのことである。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
その頃、じょの若い悲しい眼のうちには、何という深い光が宿っていたであろう。おとこ光沢つやあるくちびるから出る声の底には、何という強い反抗の力が潜んでいたであろう。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もう十年ほど前にくなった大伯父の一人っ子におとこの子がある、十八で信二しんじって云う。
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
のいちばんいちばんたかいところにいたふたりのいちょうのおとこがいいました。
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
大きな男でしたが、火葬されたので、送葬そうそう輿こしは軽く、あまりに軽く、一盃機嫌でく人、送る者、笑い、ざわめき、陽気な葬式が皮肉でした。可惜あたらおとこをと私はまた残念に思うたのでありました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
あには議論が嫌なおとこなので、んだくだらないと云はぬばかりの顔をしたが
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
色気のあるおとこおんなを閉じ籠めたのですか。
こうして清作せいさくさんは、じつにりっぱな軍人ぐんじんでした。だからまちとおると、おとこおんないて、その雄々おおしい姿すがたをながめたのです。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
するととりりてたので、二十にんこなひきおとこは、そうががかりで、「ヨイショ、ヨイショ!」とぼうでもって石臼いしうすたかげました。
そういう袖子そでことうさんはやもめで、中年ちゅうねんいにわかれたひとにあるように、おとこ一つでどうにかこうにか袖子そでこたちをおおきくしてきた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それは勿論もちろん、これは我々われわれだけのはなしだが、かれあま尊敬そんけいをすべき人格じんかくおとこではいが、じゅつけてはまたなかなかあなどられんとおもう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かくこんな具合ぐあいで、敦子あつこさまは人妻ひとづまとなり、やがて一人ひとりおとこうまれて、すくなくとも表面うわべにはたいそう幸福こうふくらしい生活せいかつおくっていました。
せけんでは、おとこまれると、『たいそうめでたい。』といい、『おんなであってもじょうぶなら、まあまあめでたい。』
さるころはがきにて處用しよようと申こしたる文面ぶんめんおとことほりにて名書ながきも六ざうぶんなりしかど、手跡しゆせき大分だいぶあがりてよげにりしと父親ちゝおやまんより
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うしろからしのぶようにしていておとこは、そういいながらおもむろに頬冠ほおかぶりをとったが、それは春信はるのぶ弟子でしうちでも、かわものとおっている春重はるしげだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
片岡山かたおかやまという言葉ことばかぶせたかざりの枕言葉まくらことばで、うた意味いみは、片岡山かたおかやまの上に御飯ごはんべずにえてているたびおとこがあるが、かわいそうに、おや兄弟きょうだいもない
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「あのおとこはまことによい男だが、惜しいことには、宗教家であるため、弱くて不可いかぬ。あれにいっそうほねっぽいところがあれば、実に見上げた人間だのに」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
掃除そうじわって、いよいよだい二十かい常会じょうかいひらこうとしていると、きこりのようなおとこひとが、かおながい、みみおおきいじいさんを乳母車うばぐるまにのせて、尼寺あまでら境内けいだいにはいってた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ぬッとはいってきた魁偉かいいおとこ工匠袴こうしょうばかまをはいたはなかけ卜斎である。ギョロッとなかを見まわして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやらしいこと、おつしやらないでください。刈谷かりやさんはつています。むかしからの知合しりあいです。でも、あんなケチンボでへんくつなおとこに、どうして世話せわになんかなるものですか」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
このむらに、もう一人ひとり金持かねもちがありました。そのおとこは、むらのものが、一ぽう金持かねもちのうちにばかり出入でいりするのをねたましくおもいました。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとこおんな相違そういが、いまあきらかに袖子そでこえてきた。さものんきそうなにいさんたちとちがって、彼女かのじょ自分じぶんまもらねばならなかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
するとおとこいたって志繰こころたしかな、やささしい若者わかもので、ほかおんななどにはもくれず、かたかた決心けっしんをしてることがよくわかりました。
こういって、おかあさんはちいさなおとこってて、ばらばらにりはなして、おなべへぶちこんで、ぐつぐつてスープをこしらえました。
先生せんせい、わたしのうちには、またおんなまれました。こんどこそ、おとこまれてほしいとおもっていましたので、がっかりしました。」
「そんなら、名前なまえはともかく、どんなおとこなんだか、それをいっとくれ。お武家ぶけか、商人あきんどか、それとも職人しょくにんか。——」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
はるになってゆき次第しだいけた或日あるひ墓場はかばそばがけあたりに、腐爛ふらんした二つの死骸しがい見付みつかった。それは老婆ろうばと、おとことで、故殺こさつ形跡けいせきさえあるのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
外国語では人という名詞めいしをただちにおとこに代用するが、わがくににおいて人というのは西洋のいわゆるペルソン(人格じんかく)を指し、ただちに性の区別をいいあらわさない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
するとその小坊主こぼうずというのは勝軍地蔵しょうぐんじぞうさまで、おおきなひげおとこえたのは勝敵毘沙門天しょうてきびしゃもんてんちがいありません。どちらもこの御堂おどうにおしずまりになっていらっしゃいます。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
二人ふたり椿つばきのところへもどってると、そこに自転車じてんしゃをとめて、一人ひとりおとこひとっていました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
がつなかの五らう退出たいしゆつ間近まぢかやすらかにをんなうまれぬ、おとこねがひしれにはちがへども、可愛かはゆさは何處いづこかはりのあるべき、やれおかへりかと母親はゝおやむかふて、流石さすが初孫ういまごうれしきは
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
金魚屋きんぎょやは、たところまことに好人物こうじんぶつらしいおとこで、つぎのような申立もうしたておこなつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
おとこ! 顔を洗って出直して来い」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おとこは、さかんにわるいことをしました。しかし、世間せけんは、それをゆるすものではありませんから、じきにまたらえられてしまいました。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
度目どめのおかみさんには、おんなまれました。はじめのおかみさんのは、のようにあかく、ゆきのようにしろおとこでした。