“頬冠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ほおかむ42.2%
ほおかぶ16.3%
ほおかむり11.9%
ほゝかむ5.9%
ほゝかぶ5.2%
ほほかむ3.0%
ほゝかぶり3.0%
ほほかむり2.2%
ほうかむ1.5%
ほっかぶ1.5%
ほっかむり1.5%
ほつかぶ1.5%
ほゝかむり1.5%
ほおかぶり0.7%
ほっかぶり0.7%
ほっかむ0.7%
ほほかぶり0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
雲が破けて、陽光が畑いちめんに落ちると、麦の芽は輝き躍って、善ニョムさんの頬冠ほおかむりは、そのうちにまったく融けこんでしまった。
麦の芽 (新字新仮名) / 徳永直(著)
黒の頬冠ほおかぶり、黒の肩掛けで、後ろのはぼろぼろにきれかかっている。欄干から恐ろしい怪物の形がいくつもパリを見おろしている。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
野良着をつけると、善ニョムさんの身体からだはシャンとして来た。ゆるんだタガが、キッチリしまって、頬冠ほおかむりした顔が若やいで見えた。
麦の芽 (新字新仮名) / 徳永直(著)
庇間合ひあはひ捨置すておき早足はやあし逃出にげいだし手拭ひにて深く頬冠ほゝかむりをなしきもふとくも坂本通りを逃行くをりから向うより町方の定廻り同心手先三人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「そればかりは判りませんよ、何時でも手拭で頬冠ほゝかぶりをして——誰かに後を跟けられたと覺ると、その逃げ足の早いと言ふことは——」
ただ一片いっぺん布令だけの事であるから、俗士族は脇差わきざしを一本して頬冠ほほかむりをして颯々さっさつと芝居の矢来やらいやぶっ這入はいる。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
まだかはつたことには、ふなばたかすみつゝんで、ふつくり浮上うきあがつたやうなともまつて、五位鷺ごゐさぎ一羽いちは頬冠ほゝかぶりでもさうなふうで、のつとつばさやすめてむかふむきにチヨンとた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして手を叩いてゐるうちに、みんな、猫に頬冠ほほかむりをさせて逆さに這はすことが、とてもたまらなく面白く愉快に思はれて来ました。
仔猫の裁判 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
側にいた年齢としごろ廿二三で半合羽はんがっぱを着ている商人体あきんどていの男が、草鞋のよごれたのを穿いて頬冠ほうかむりをしながら、此の男も出に掛りますと、突然いきなり傍にあった角右衞門の風呂敷包を引攫ひっさらってげましたから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お隅の萎れた身体はくらの上に乗せ、足は動かさないようにしっかと馬の胴へ括付くくりつけました。母親おふくろ油火カンテラを突付けて見せる——お隅は編笠、源は頬冠ほっかぶりです。坂の上り口まで父親に送られて、出ました。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「こちらへ、」といった車夫は小腰をかがめて、紺蛇の目を手早く受取る。その腕車くるまに乗ろうとする時、かちかちかちと木をって、柳の彼方かなたの黒塀の前に、頬冠ほっかむりをした二人が在った。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだ若さうな着流し、彌造が板について、頬冠ほつかぶりは少し欝陶うつたうしさうですが、素知らぬ顏で格子から赤いお神籤を解く手は、恐ろしく器用です。
男女、事々しく裝つたのもあれば、平常服ふだんぎに白手拭の頬冠ほゝかむりをしたのもある。十歳位の子供から、醉の紛れの腰の曲つたお婆さんに至るまで、夜の更け手足の疲れるも知らで踊る。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして早船乗はやぶねのり頬冠ほおかぶりをした船頭は、かかるのひっそりした水に声を立てて艪をぎいーぎい。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ナニそりゃア真黒まっくろに面を塗って頬冠ほっかぶりをしてナ、丹波の国から生獲いけどりましたと云う荒熊あらくまの様な妙な面になってきゃア仮令たとえ面を見られたって分りゃアしねえから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まだ若そうな着流し、弥蔵やぞうが板について、頬冠ほっかむりは少し鬱陶うっとうしそうですが、素知らぬ顔で格子から赤い御神籤を解く手は、恐ろしく器用です。
他は盲縞めくらじま股引ももひき腹掛はらがけに、唐桟とうざん半纏はんてん着て、茶ヅックの深靴ふかぐつ穿うがち、衿巻の頬冠ほほかぶり鳥撃帽子とりうちぼうしを頂きて、六角に削成けずりなしたる檳榔子びんろうじの逞きステッキを引抱ひんだき、いづれも身材みのたけ貫一よりは低けれど
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)