頬冠ほっかぶ)” の例文
お隅の萎れた身体はくらの上に乗せ、足は動かさないようにしっかと馬の胴へ括付くくりつけました。母親おふくろ油火カンテラを突付けて見せる——お隅は編笠、源は頬冠ほっかぶりです。坂の上り口まで父親に送られて、出ました。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それまでの御高札には、第一条に、忠孝文武ヲ相励ムベキコト——とあったのを、今のように、親子兄弟、相睦アイムツミ、オノオノ奉公ニ、精出スコト……と書き直して、御高札が、頬冠ほっかぶりしてしまったわけだ
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)