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五位鷺
読み方 | 割合 |
ごいさぎ | 88.4% |
ごゐさぎ | 11.6% |
そよそよと流れて来る
夜深の風には青くさい
椎の花と野草の
匂が含まれ、松の
聳えた
堀向の空から突然
五位鷺のような鳥の声が聞えた。
臀と
股と
膝頭が一時に飛び上がった。自分は
五位鷺のように布団の上に立った。そうして、
四囲を見廻した。そうして泣き出した。
其の
声が、
五位鷺の、げつく、げつくとも
聞こえれば、
狐の
叫ぶやうでもあるし、
鼬がキチ/\と
歯ぎしりする、
勘走つたのも
交つた。
主人の妻が「あツ、あツ」と夜天に鳴く
五位鷺の様な声をして驚き倒れる
機会に鳥籠が
顛倒かへると、籠の中から
隣人と不義をした
妾の
生首が
現はれて幕に成つた。