“鬱陶”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うっとう75.6%
うつたう19.7%
うっと2.4%
いぶ0.8%
うつと0.8%
ものおもい0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もう入梅の気構えの空が鬱陶うっとうしく、車室の中がじっとりと生暖いので、幸子と雪子とはうしろにもたれかかったままとろとろとし始め
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これより後の事は知らず。我は氣を喪ひき。人あまた集ひて、鬱陶うつたうしくなりたるに、我空想の燃え上りたるや、この眩暈めまひのもとなりけむ。
桔梗 お鬱陶うっとしかろうと思いまして。それには、申分のございませんお日和でございますし、遠山はもう、もみじいたしましたから。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただいとふにはゆるは彼方あなたの親切にて、ふた親のゆるしし交際のおもて、かひな借さるることもあれど、唯二人になりたるときは、家も園もゆくかたもなう鬱陶いぶせく覚えて
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それを貴方は、私と謂ふと何でも鬱陶うつとしがつて、如何いかに何でもそんなになさるものぢやございませんよ。その事ならば、貴方が御迷惑遊ばしてゐらつしやるばかりぢやございません。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
折しも小春の空長閑のどけく、斜廡ひさしれてさす日影の、払々ほかほかと暖きに、黄金丸はとこをすべり出で、椽端えんがわ端居はしいして、独り鬱陶ものおもいに打ちくれたるに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)