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鬱陶
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うつたう
ふりがな文庫
“
鬱陶
(
うつたう
)” の例文
これより後の事は知らず。我は氣を喪ひき。人あまた集ひて、
鬱陶
(
うつたう
)
しくなりたるに、我空想の燃え上りたるや、この
眩暈
(
めまひ
)
のもとなりけむ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
小林君が
洋傘
(
かうもり
)
で指さした
方
(
はう
)
を見ると、
成程
(
なるほど
)
もぢやもぢや生え繁つた
初夏
(
しよか
)
の
雑木
(
ざふき
)
の
梢
(
こずゑ
)
が鷹ヶ峯の左の裾を、
鬱陶
(
うつたう
)
しく隠してゐる。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
名乘るとすぐ通してくれたのは、奧まつた一室、石津右門相變らず鬼の
霍亂
(
くわくらん
)
見たいな顏に、
鬱陶
(
うつたう
)
しい
皺
(
しわ
)
を刻んで出て來ました。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
俥
(
くるま
)
は
幌
(
ほろ
)
を
深
(
ふか
)
くしたが、
雨
(
あめ
)
を
灌
(
そゝ
)
いで、
鬱陶
(
うつたう
)
しくはない。
兩側
(
りやうがは
)
が
高
(
たか
)
い
屋並
(
やなみ
)
に
成
(
な
)
つたと
思
(
おも
)
ふと、
立迎
(
たちむか
)
ふる
山
(
やま
)
の
影
(
かげ
)
が
濃
(
こ
)
い
緑
(
みどり
)
を
籠
(
こ
)
めて、
輻
(
や
)
とともに
動
(
うご
)
いて
行
(
ゆ
)
く。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「……そんなことはお前が訊かいでもえゝ。」辰男は
鬱陶
(
うつたう
)
しい聲でさう云つて、自分の居間から齒磨粉と手拭を持つて來て、靜かに階下へ下りて井戸端へ出た。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
▼ もっと見る
六月の末、もう
梅雨
(
つゆ
)
にかかつてしよぼ降る雨の
鬱陶
(
うつたう
)
しい日が幾日となく續いた。それは或る金曜日の第三時間目で、その日も
小止
(
をや
)
みない雨に教室の中は薄暗かつた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
雨の降つてゐる日で、室内も周圍から壓迫したやうに
鬱陶
(
うつたう
)
しくかげつてゐる。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
午後になつて、
鬱陶
(
うつたう
)
しく、やゝ霧がかゝつて來た。暗くなるに從つて、私はゲィツヘッドから、隨分遠く離れつゝあることを感じはじめた。町を通過することはなくなつた。土地が變つたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
鬱陶
(
うつたう
)
しい蚕豆。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
殘るのは錢形平次と、小林習之進の母親お世乃と、そして殺されたお通の死骸だけ、暫らくは、
鬱陶
(
うつたう
)
しい沈默が續きます。
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
そ
)
の
又
(
また
)
家來
(
けらい
)
又
(
また
)
家來
(
けらい
)
と
云
(
い
)
ふんだけれど、お
互
(
たがひ
)
に
詰
(
つま
)
りませんや。これぢや、なんぼお
木像
(
もくざう
)
でも
鬱陶
(
うつたう
)
しからう、お
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だ。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ポカポカする
秋日和
(
あきびより
)
、頬冠りは少し
鬱陶
(
うつたう
)
しいが、場所柄だけに、少し遲い朝歸りと思へば大して
可笑
(
をか
)
しくはありません。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
生きてゐるうちこそ多少
鬱陶
(
うつたう
)
しいものでしたが、そのやかましい口が永久に閉ざされた今となつては、なつかしくやるせない思ひ出の一つだつたでせう。
銭形平次捕物控:185 歩く死骸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
秋が深いにしても、朝の光の中に
鬱陶
(
うつたう
)
しく頬冠り、
唐棧
(
たうざん
)
を端折つて、左の
拳
(
こぶし
)
で
彌造
(
やざう
)
をきめた恰好は、どう
贔屓目
(
ひいきめ
)
に見ても、あまり結構な風俗ではありません。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鬱陶
(
うつたう
)
しい日は續きました。世界は六月から七月になつて、不二屋の騷ぎもこれきりになるかと思つた頃、事件は思ひも寄らぬ破局へ乘り上げてしまつたのです。
銭形平次捕物控:254 茶汲み四人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
左の眼から頬へかけて顏半分の
繃帶
(
ほうたい
)
をして居るのが、
鬱陶
(
うつたう
)
しく重々しい限りですが、それがこの中年増の内儀の美しさを、一層引立てると言つた、不思議な効果です。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから二た月あまり、無事な——が
鬱陶
(
うつたう
)
しい日が續きました。旗本多良井家の腰元の死は、それつきり大した騷ぎにもならず、闇から闇に葬られてしまつたのです。
銭形平次捕物控:199 蹄の跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お秀ののしかゝつて來る年増美の
鬱陶
(
うつたう
)
しさに比べて、この娘はまた何んといふ
素朴
(
そぼく
)
な存在でせう。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから二、三日、秋の長雨に降り込められて、錢形平次も
鬱陶
(
うつたう
)
しく籠つてをりました。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
鬱陶
(
うつたう
)
しさうでした。遲れた櫻も
漸
(
ようや
)
くほころび始めて、世の中は春
闌
(
たけなは
)
なるべき筈なのに、雪が春先まで降つたのと、薄寒い日が續いたので、江戸の景氣も一向に引立ちません。
銭形平次捕物控:319 真珠太夫
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鬱陶
(
うつたう
)
しくさへ感じさせますが、その嚴重さは目を驚かすばかり、不要の部屋々々は閉めきつたまゝ、格子のないところは、
棧
(
さん
)
と心張りの外に、全部の雨戸に
閂
(
かんぬき
)
まで差してゐるのです。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次はこの慾の深さうな主人と長く話して居るのが
鬱陶
(
うつたう
)
しくなつた樣子です。
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この男の
呪
(
のろ
)
ひを聞いて居るのは、平次にも少し
鬱陶
(
うつたう
)
しいことでした。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何にかしら、平次にも
鬱陶
(
うつたう
)
しい日が續いたのです。
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
鬱陶
(
うつたう
)
しい空氣の中に、六日目の晝頃。
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“鬱陶”の意味
《名詞》
鬱陶(うっとう、うつよう)
気がふさいで晴れ晴れとしない様。
(出典:Wiktionary)
鬱
常用漢字
中学
部首:⾿
29画
陶
常用漢字
中学
部首:⾩
11画
“鬱陶”で始まる語句
鬱陶敷