“小止”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おや32.1%
をや26.4%
こや17.0%
こやみ9.4%
おやみ7.5%
をやみ7.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夏野の道を旅人の小止おやみなく通っていることも聯想さるれば、その石を唯一の休み場処とする夏野の広々とした光景もうかがわれる。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
丁度梅雨ばいうの時節、幾日となく降りつゞいた雨がふと其日の午後ひるすぎ小止をやみした。の明けたやうに、パツと流れて來る日の光の強さは、もうすつかり夏である。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
障子を隔てて次の間には、何も知らずに令一が眠っている。外の、吹雪の音は、やはり小止こやみもなく、狂っているのが聞えたのである。
凍える女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
死んだのは鼓ヶ嶽の裾だった。あの広場ひろっぱの雑樹へさがって、が明けて、やッと小止こやみになった風に、ふらふらとまだ動いていたとさ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれども、雨漏あまもりにも旅馴たびなれた僧は、押黙って小止おやみを待とうと思ったが、ますます雫は繁くなって、掻巻の裾あたりは、びしょびしょ、刎上はねあがって繁吹しぶきが立ちそう。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
午後雨小止をやみしたれば門外松下の小徑を歩み行くに、梅多く植ゑたる庭の垣際に菖蒲茂りて花多く咲きたり。空くもりて木蔭くらければ花の色殊に美しく見えたり。
荷風戦後日歴 第一 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)