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小止
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おや
ふりがな文庫
“
小止
(
おや
)” の例文
夏野の道を旅人の
小止
(
おや
)
みなく通っていることも聯想さるれば、その石を唯一の休み場処とする夏野の広々とした光景も
覗
(
うかが
)
われる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
いつか世の中は
長雨
(
ながさめ
)
にはいり出していた。十日たっても、二十日たっても、それは
小止
(
おや
)
みもなしに降りつづいていた。
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
女の散歩に出た
翌朝
(
よくあさ
)
から雨が降り出して、いつもより早く秋が来た。窓の外を見ていると、毎日朝から晩まで、ほとんど
小止
(
おや
)
みなしに降る、細い、
鼠色
(
ねずみいろ
)
の雨の糸が見えている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
と、
姉
(
あね
)
はいいました。そして、
夜
(
よる
)
も、
昼
(
ひる
)
も、
小止
(
おや
)
みなく
砂
(
すな
)
をまき、
水
(
みず
)
をまいていました。
消えた美しい不思議なにじ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
運命の
鞭
(
むち
)
が、
小止
(
おや
)
みもなしに私の身にふりかかって、時にはもう、ほとほと我慢のならぬほど、つらい時もあります。だのに私には、遥か彼方で瞬いてくれる
燈灯
(
ともしび
)
がないのです。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
どんよりとした重い水が、或は渦を巻き或は淀み或は瀬をなして、
小止
(
おや
)
みもない力で流れてゆく、そういう日々が続いた。順造は心の眼をつぶって、その流れのままに身を任せた。
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
小止
(
おや
)
みもなく紛々として
降来
(
ふりく
)
る雪に山はその
麓
(
ふもと
)
なる
海辺
(
うみべ
)
の漁村と共に
埋
(
うずも
)
れ
天地寂然
(
てんちせきぜん
)
たる処、
日蓮上人
(
にちれんしょうにん
)
と呼べる聖僧の
吹雪
(
ふぶき
)
に身をかがめ苦し
気
(
げ
)
に
山路
(
やまじ
)
を
昇
(
のぼ
)
り行く図の如きは即ち然り。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
舵手
(
だしゅ
)
に令する航海長の声のほかには、ただ煙突の
煙
(
けぶり
)
のふつふつとして白く月にみなぎり、
螺旋
(
スクルー
)
の波をかき、大いなる心臓のうつがごとく
小止
(
おや
)
みなき機関の響きの艦内に満てるのみ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
十時を過ぎた頃、
一呼吸
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
かせて、もの音は静まったが、裾を捲いて、
雷神
(
はたたがみ
)
を乗せながら、
赤黒
(
あかぐろ
)
に黄を交えた雲が
虚空
(
そら
)
へ、舞い舞い
上
(
あが
)
って、昇る
気勢
(
けはい
)
に、雨が、さあと
小止
(
おや
)
みになる。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
翌
(
あく
)
る二十七日には、朝の間のどうやら
鬨
(
とき
)
の声も
小止
(
おや
)
みになったらしい
隙
(
すき
)
を見計らい、東の御方は鶴姫さまと御一緒に
中御門
(
なかみかど
)
へ、若君姫君は九条へと、
青侍
(
あおさぶらい
)
の御警固で早々にお落し申上げました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
胸の
轟
(
とどろ
)
き
小止
(
おや
)
みめぐる血
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そういうほどにまで雨が
小止
(
おや
)
みもなしに降りつづいたあげく、或る日、それにはげしい風さえ加わり出した。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
この句は五月雨が
小止
(
おや
)
みもなく降り続くので、ある日
琵琶湖
(
びわこ
)
に行ってみると、あの周囲七十余里といわれておる海に等しい琵琶湖でさえ
水嵩
(
みずかさ
)
が増しておるというのであります。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
翌
(
あく
)
る二十七日には、朝の間のどうやら
鬨
(
とき
)
の声も
小止
(
おや
)
みになつたらしい
隙
(
すき
)
を見計らひ、東の御方は鶴姫さまと御一緒に
中御門
(
なかみかど
)
へ、若君姫君は九条へと、
青侍
(
あおさぶらい
)
の御警固で早々にお落し申上げました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そして一日じゅう
小止
(
おや
)
みなく降っていた。もう四月下旬だというのに何と云うことであろう。そしてそれはその翌日になっても、翌翌日になっても止まなかった。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そんな雨がちょっと
小止
(
おや
)
みになり、峠の方が薄明るくなって、そのまま晴れ上るかと思うと、峠の向側からやっと
匍
(
は
)
い上って来たように見える
濃霧
(
のうむ
)
が、峠の上方一面にかぶさり
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
雪は相変らず
小止
(
おや
)
みなく降っていた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
雨のためにひさしく
音信
(
おとずれ
)
のなかった頭の君から突然道綱の
許
(
もと
)
に「雨が
小止
(
おや
)
みになったら、ちょっと入らしって下さい、是非お会いしたい事がありますから。どうぞお母あ様には、自分の
宿世
(
すくせ
)
が思い知られました故何も申し上げませぬ、とお言付ください」
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
止
常用漢字
小2
部首:⽌
4画
“小止”で始まる語句
小止観