“ほおかぶり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
頬被94.4%
頬冠5.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
赤い友禅のそでの長いのをていましたが、誰かの黒っぽい羽織を上に引張って手拭てぬぐい頬被ほおかぶりをし、遊び人とでもいうつもりでしょう、拳固げんこふところからのぞかせて歩くのです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
塩町しおちょうから大伝馬町おおでんまちょうに出る。本町を横切って、石町河岸こくちょうがしから龍閑橋りゅうかんばし鎌倉河岸かまくらがしに掛る。次第に人通が薄らぐので、九郎右衛門は手拭を出して頬被ほおかぶりをして、わざとよろめきながら歩く。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そして早船乗はやぶねのり頬冠ほおかぶりをした船頭は、かかるのひっそりした水に声を立てて艪をぎいーぎい。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何じゃい。」と打棄うっちゃったように忌々いまいましげにつぶやいて、頬冠ほおかぶりを取って苦笑にがわらいをした、船頭は年紀とし六十ばかり、せて目鼻にかどはあるが、一癖も、二癖も、額、まなじり口許くちもとしわに隠れてしおらしい
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)