頬冠ほほかむり)” の例文
そして手を叩いてゐるうちに、みんな、猫に頬冠ほほかむりをさせて逆さに這はすことが、とてもたまらなく面白く愉快に思はれて来ました。
仔猫の裁判 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
藩の小士族などは酒、油、醤油などを買うときは、自分みずから町に使つかいに行かなければならぬ。所がその頃の士族一般のふうとして、頬冠ほほかむりをしてよる出掛でかけて行く。私は頬冠は大嫌いだ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
笛も三人ばかり加はつた。踊の輪は長く/\街路みちなりに楕円形になつて、その人数は二百人近くもあらう。男女、事々しく装つたのもあれば、平常服ふだんぎに白手拭の頬冠ほほかむりをしたのもある。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「裁判長、僕は猫の頭に頬冠ほほかむりをさせて、そこいらを逆さに、はせたらいいと思ふな。どうだい、おもしろいぞオ。」
仔猫の裁判 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)