“一片”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ひとひら36.7%
ひときれ24.2%
いっぺん16.7%
いつぺん8.3%
ひとかけ5.0%
ひとつ5.0%
いっぺんの0.8%
ひとかた0.8%
ひとき0.8%
ひとは0.8%
(他:1)0.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
後がたちまち真暗まっくらになるのが、白の一重芥子ひとえげしがぱらりと散って、一片ひとひら葉の上にとまりながら、ほろほろと落ちる風情。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雪は五寸許りしか無かつたが、晴天はれ続きの、塵一片ひとひら浮ばぬ透明の空から、色なき風がヒユウと吹いて、吸ふ息毎に鼻の穴がつまる。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
空へ向って言いたいような気持である。いやいや、老いたる母の肩にさえ、どこからか舞ってきた桃花の一片ひとひらが、あかく点じているではないか。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何處どこさがしても、一片ひときれもないどころか、はて踏臺ふみだいつてて、押入おしいれすみのぞ
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
生きる限り生きることにひけめを感じ、存在そのものに敗北しつづけてゐるやうな、その惨めな生き方を俺は一片ひときれもしたくない、見たくないのだ。
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
『君の方ぢや、梨をさういふふうにして客に出すことが流行はやるのかね。』と、小池こいけは其の梨の一片ひときれつまんで言つた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
入道相国の恩命も、余りに遅きに失していたが、たとえそれが一片いっぺんの出来心でも、年来不遇な頼政には、うれしかったに違いない。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月がこう言ったとき、一片いっぺんの雲が通りすぎました。——詩人とバラのあいだには、どんな雲も割りこまないでいてもらいたいものです。
ひそかに決する処あり、いざさらば地方に遊説して、国民の元気をおこさんとて、坂崎氏には一片いっぺんの謝状をのこして
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
たちま一片いつぺん美女たをやめおもてにもくもかげすよとれば、一谷ひとだにくらつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まあどんなにかなしかつたらう、いま一片いつぺんのパンも一塊いつくわいにくもなきこのみじめな艇中ていちう見廻みまわして
北邙山頭ほくばうさんとう一片いつぺんの煙となり、」——僕は度たび「安国寺さん」のそんなことを言はれたのを覚えてゐる。
二人の友 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
当るのには訳があって私は谷中の墓地は隅々まで精通していたから、文部大臣の森有礼を暗殺した西野文太郎の墓石を砕いてその一片ひとかけを懐にして行くのである。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
すると小窓の戸があいて、老婆(さういふ婆さんだけが生真面目な爺さんと一緒に我が家に残つてゐたのだ)が、痩せた手に腸詰だのピロオグの一片ひとかけだのを掴んで差し出した。
苦力頭は、鼻もヒッカケない面付つらつきで俺を冷たく無視した。苦力達がさんざ朝飯を食い始めたが、誰も俺にマントウの一片ひとかけらも突き出そうとしなかった。俺は喰えというまで手を出すまいと覚悟した。
苦力頭の表情 (新字新仮名) / 里村欣三(著)
下なるはいよいよ細りていつしか影も残らず消ゆれば、残れる一片ひとつはさらに灰色にうつろいて朦乎ぼいやりと空にさまよいしが
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
空は雲一片ひとつなく穏かに晴渡つて、紫深くくろずんだ岩手山が、歴然くつきり夕照せきせうの名残の中に浮んでゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「実はどういうんだか、今夜の雪は一片ひとつでも身体からだへ当るたびに、毒虫にさされるような気がするんです。」
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
烏江うこう水浅みずあさくして騅能逝すいよくゆくも一片いっぺんの義心ぎしん不可東ひんがしすべからずとは、往古おうこ漢楚かんその戦に
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
戦歿者の葬儀なども終って、一片ひとかたづきすると、秋風がふき始めた。輿論に耳のないような沈黙を見せて信長は夏の終りを過した。柴田、佐久間など、一時不首尾に悄気しょげていた面々が、
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母親は、また手品師のように、手をうら返しにして見せた後、飯を握り、蠅帳から具の一片ひときれを取りだして押しつけ、子供の皿に置いた。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
一片ひとへ黄朽葉きくちば
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
一片ひとへ緑葉みどりば
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)