“断片”のいろいろな読み方と例文
旧字:斷片
読み方割合
かけら37.5%
だんぺん31.3%
きれはし12.5%
きれ6.3%
きれっぱし6.3%
ちぎれ6.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
金では、人の心の愛情の断片かけらをさへ、買ひ得ないことを告白してゐる。彼は、今自分の非を悟つて、瑠璃子の前に平伏して彼女の愛を哀願してゐる。敵は脆くも、降つたのだ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
すわって居て行路の人をながむるのは、断片だんぺんの芝居を見る様に面白い。時々はみどり油箪ゆたんや振りのくれないを遠目に見せて嫁入りが通る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
貴女の身体からだをさえ、まだ自分の物に、することが出来ないで苦しんでいるのです。まして、貴女の愛情の断片きれはしでも、俺の自由にはなっていないのです。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
母は机の奥から屑籠をり出した。手紙の断片きれを一つ一つ床から拾って籠の中へ入れる。じ曲げたのを丹念に引き延ばして見る。「いずれ拝眉はいびの上……」と云うのを投げ込む。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
路傍の石の不器用な断片きれっぱしを、七つ八つ並べて三、四寸の高さと見ず、一万尺と想ってみたまえ、凸凹たかひくもあれば、※皺ひだもあり、断崖もあって、自らなる山性をっている、人間の裳裾もすそに通う空気は
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
花火は時々一団の白い煙を空に残して、やがてそれが浮びただよう雲の断片ちぎれのように、風に送られて群集の頭上を通る時には、あちこちに小供の歓呼が起る。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)