断片だんぺん)” の例文
旧字:斷片
すわって居て行路の人をながむるのは、断片だんぺんの芝居を見る様に面白い。時々はみどり油箪ゆたんや振りのくれないを遠目に見せて嫁入りが通る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
壁体へきたいだの階段だの奇妙な小室しょうしつだのの符合が並んでいたが、生憎あいにくごくはしの方だけを切取ったものらしく、何を示してある図か、この断片だんぺんだけでは分らなかった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
其他そのほかいづれも断片だんぺんで、文句もんくもとより拙劣せつれつたゞおどるまゝにペンをはしらせたものとしかえぬ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
破壊はかいしおわった断片だんぺんの一をのこしてどうするものか、のこったおれだってこまる、のこされた社会もこまるだろう、この一断片だんぺんをどうにかしてくれ、おれはどうしてもこの病院を
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ちついた悲哀かなしみ断片だんぺんがしみじみと降りしきる。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)