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一片
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いつぺん
ふりがな文庫
“
一片
(
いつぺん
)” の例文
やがて、とことはの
闇
(
やみ
)
となり、
雲
(
くも
)
は
墨
(
すみ
)
の
上
(
うへ
)
に
漆
(
うるし
)
を
重
(
かさ
)
ね、
月
(
つき
)
も
星
(
ほし
)
も
包
(
つゝ
)
み
果
(
は
)
てて、
時々
(
とき/″\
)
風
(
かぜ
)
が
荒
(
あ
)
れ
立
(
た
)
つても、
其
(
そ
)
の
一片
(
いつぺん
)
の
動
(
うご
)
くとも
見
(
み
)
えず。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一片
(
いつぺん
)
のパンも
一塊
(
いつくわい
)
の
肉
(
にく
)
もなき
此
(
この
)
みじめな
艇中
(
ていちう
)
を
見廻
(
みまわ
)
して、
再
(
ふたゝ
)
び
私
(
わたくし
)
の
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めた
姿
(
すがた
)
は、
不憫
(
ふびん
)
とも
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
はれなかつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
細君
(
さいくん
)
の
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
によると、
彼
(
かれ
)
は
郷里
(
きやうり
)
へ
歸
(
かへ
)
つてから
當日
(
たうじつ
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
、
一片
(
いつぺん
)
の
音信
(
おんしん
)
さへ
下宿
(
げしゆく
)
へは
出
(
だ
)
さなかつたのである。
宗助
(
そうすけ
)
は
案外
(
あんぐわい
)
な
思
(
おもひ
)
で
自分
(
じぶん
)
の
下宿
(
げしゆく
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
渝
(
かは
)
らぬ
契
(
ちぎ
)
りの
誰
(
た
)
れなれや
千年
(
せんねん
)
の
松風
(
しようふう
)
颯々
(
さつ/\
)
として
血汐
(
ちしほ
)
は
殘
(
のこ
)
らぬ
草葉
(
くさば
)
の
緑
(
みどり
)
と
枯
(
か
)
れわたる
霜
(
しも
)
の
色
(
いろ
)
かなしく
照
(
て
)
らし
出
(
い
)
だす
月
(
つき
)
一片
(
いつぺん
)
何
(
なん
)
の
恨
(
うら
)
みや
吊
(
とぶら
)
ふらん
此處
(
こゝ
)
鴛鴦
(
ゑんあう
)
の
塚
(
つか
)
の
上
(
うへ
)
に。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「安国寺さん」は式をすませた
後
(
のち
)
、本堂の前に並んだ僕等に
寂滅為楽
(
じやくめつゐらく
)
の法を説かれた。「
北邙山頭
(
ほくばうさんとう
)
一片
(
いつぺん
)
の煙となり、」——僕は度たび「安国寺さん」のそんなことを言はれたのを覚えてゐる。
二人の友
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
そして、彼等が華やかな
爪哇
(
ジヤワ
)
更紗の
一片
(
いつぺん
)
で
南洋館
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
雲が
一片
(
いつぺん
)
あの空から
覗
(
のぞ
)
いてゐる。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
大波
(
おほなみ
)
に
漂
(
たゞよ
)
ふ
小舟
(
こぶね
)
は、
宙天
(
ちうてん
)
に
搖上
(
ゆすりあげ
)
らるゝ
時
(
とき
)
は、
唯
(
たゞ
)
波
(
なみ
)
ばかり、
白
(
しろ
)
き
黒
(
くろ
)
き
雲
(
くも
)
の
一片
(
いつぺん
)
をも
見
(
み
)
ず、
奈落
(
ならく
)
に
揉落
(
もみおと
)
さるゝ
時
(
とき
)
は、
海底
(
かいてい
)
の
巖
(
いは
)
の
根
(
ね
)
なる
藻
(
も
)
の、
紅
(
あか
)
き
碧
(
あを
)
きをさへ
見
(
み
)
ると
言
(
い
)
ひます。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
糧食箱
(
りようしよくばこ
)
の
中
(
なか
)
には
一片
(
いつぺん
)
の
蒸餅
(
ビスケツト
)
も
無
(
な
)
くなつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
忽
(
たちま
)
ち
一片
(
いつぺん
)
、
美女
(
たをやめ
)
の
面
(
おもて
)
にも
雲
(
くも
)
の
影
(
かげ
)
が
映
(
さ
)
すよと
見
(
み
)
れば、
一谷
(
ひとだに
)
は
暗
(
くら
)
く
成
(
な
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
乘客
(
じようかく
)
の
面上
(
めんじやう
)
に
一片
(
いつぺん
)
暗愁
(
あんしう
)
の
雲
(
くも
)
は
懸
(
かゝ
)
れり。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“一片”の意味
《名詞》
薄く小さいものの一枚。
大きな固まりのうちの一かけら。
わずか。ほんの少し。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
“一片”で始まる語句
一片付
一片食
一片々々
一片着
一片紙
一片雲
一片餉
一片二片