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文面
さる
頃はがきにて
處用と申こしたる
文面は
男の
通りにて
名書きも六
藏の
分なりしかど、
手跡大分あがりて
見よげに
成りしと
父親の
自まんより
打兄作藏は
當時江戸麹町三丁目にて村井長庵と
言て
立派なる
醫者に成て居るとの由
故出府して兄の長庵に
委細を
噺し
頼まんものと
委敷手紙に
認めて長庵方へ
送りける其
文面に
曰く
やかましやの
良人が
暇といふては
毛筋ほども
明けさせて
呉れぬ
五月蠅さ、
夜分なりと
歸りは
此方から
送らせうほどにお
良人に
願ふて
鳥渡來て
呉れられまいか、
待つて
居る、と
云ふ
文面で
御座ります