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毛筋
動止んだ
赤茶けた
三俵法師が、
私の
目の
前に、
惰力で、
毛筋を、ざわ/\とざわつかせて、うツぷうツぷ
喘いで
居る。
やかましやの
良人が
暇といふては
毛筋ほども
明けさせて
呉れぬ
五月蠅さ、
夜分なりと
歸りは
此方から
送らせうほどにお
良人に
願ふて
鳥渡來て
呉れられまいか、
待つて
居る、と
云ふ
文面で
御座ります
今さらお
前さんとこの
太夫が、
金鋲を
打った
駕籠で
迎えに
来ようが、
毛筋一
本動かすような
女じゃねえから
安心しておいでなせえ。
業畜、心に従はぬは許して置く、
鉄の
室に入れられながら、
毛筋ほどの
隙間から、言語道断の
不埒を働く、憎い女、さあ、男をいつて
一所に死ね……えゝ、言はぬか
何うだ。