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毛筋
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けすぢ
動止んだ
赤茶けた
三俵法師が、
私の
目の
前に、
惰力で、
毛筋を、ざわ/\とざわつかせて、うツぷうツぷ
喘いで
居る。
やかましやの
良人が
暇といふては
毛筋ほども
明けさせて
呉れぬ
五月蠅さ、
夜分なりと
歸りは
此方から
送らせうほどにお
良人に
願ふて
鳥渡來て
呉れられまいか、
待つて
居る、と
云ふ
文面で
御座ります
と
裳をすらりと
駒下駄を
踏代へて
向直ると、
半ば
向うむきに、すつとした
襟足で、
毛筋の
通つた
水髮の
鬢の
艶。と
拔けさうな
細い
黄金脚の、
淺黄の
翡翠に
照映えて
尚ほ
白い……
横顏で
見返つた。
薄紅の
撫子と、
藤紫の
小菊が
微に
彩めく、
其の
友染を
密と
辿ると、
掻上げた
黒髪の
毛筋を
透いて、ちらりと
耳朶と、
而して
白々とある
頸脚が、すつと
寝て、
其の
薄化粧した、きめの
細かなのさへ