“五月蠅”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うるさ76.5%
うるさい9.2%
うるさく4.2%
うるせ4.2%
うるそ1.7%
ごがつばえ0.8%
さばえ0.8%
さばへ0.8%
せから0.8%
サバヘ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
男子なる方は、五月蠅うるさきことに思ったのであろう。われわれはこれから、コルシカはタラノの谿谷けいこくへ虎狩りにゆくつもりであること。
男教員の述懐、女教員の蔭口、其他時間割と月給とに関する五月蠅うるさいほどのねたみと争ひとは、是処こゝに居て手に取るやうに解るのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
云掛る人など有て五月蠅うるさくも腹立敷だたしきをりも有ども何事も夫の爲且はなさけある亭主への恩報おんはうじと思へば氣を取直とりなほして宜程よきほどにあしらひつゝ月日を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ええ五月蠅うるせえ! こん畜生! つべこべ云わずと早く逢わせろ!」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
だから日中ひのうち歩こうものなら、町の餓鬼がきどもがたかって来て、ワイワイ囃して五月蠅うるそうござんすがね。折柄夜中で人気はなし、家の陰から陰を縫って、尾行て行くには持って来いでさあ。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
うじが成虫になってはえと改名すると急にたちが悪くなるように見える。昔は五月蠅ごがつばえと書いてうるさいと読み昼寝の顔をせせるいたずらものないしは臭いものへの道しるべと考えられていた。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
また五月蠅さばえなす悪しき神などという古記の文句もあるので、田の神とは直接のつながりはなさそうであり、いて関係を付けるならば、無意識なる外形の感染があった位のものであろう。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「年長く病みし渡れば、月かさね憂ひさまよひ、ことごとは死ななと思へど、五月蠅さばへなす騒ぐ児等を、うつててはしには知らず、見つつあれば心は燃えぬ」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
又、私の袖を引きますので五月蠅せからしい奴と思うて振向きますと、大惣の奴、熱で黒くなった舌をめずりまわしております。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
神代の物語として、語部カタリベの伝へた詞章には、威力ある大神隠れ給ふ時、木草・岩石に到るまで、恣に発言した。さうして到る処に、其声の群り充ちたこと、譬へば五月蠅サバヘの様であつたと言ふ。