“累”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かさ29.2%
るい19.3%
かさな14.3%
わずら13.7%
かさね8.1%
わずらい3.1%
わづらひ2.5%
るゐ1.9%
わざわい1.9%
しき1.2%
わずらわ1.2%
わづら1.2%
わずらひ0.6%
しきり0.6%
たま0.6%
わざわ0.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
重要な大昔の一つの言葉でも、年をかさね世の中が改まれば、その受け取りかたがいつとなく変ってくると、どうして考えてみることができなかったか。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかるに我邦の文章とか文学と言われるものは鉄板をかさりにしてある。エッキス光線かラジューム線でなければ中の品物を見る事が出来ないよ。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そうしておけば、悪魔はそのくらうべきものがなくなる。闇黒の世界に闇黒を食うて、ついに闇黒以外のものにるいを及ぼすということがなくなる。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
とただ取られると知りながら、二十両の金を遣りまして甚藏を帰しますと、其の三藏の妹おるいが寝て居ります座敷へ、二尺余りもある蛇が出ました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
戸室とむろ石山いしやまの麓がすぐながれに迫るところで、かさなり合った岩石だから、路は其処そこで切れるですものね。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
斯様にして夜が白んで来ると、氷の上に積まれた氷板が山の如くかさなつてゐるのである。
諏訪湖畔冬の生活 (新字旧仮名) / 島木赤彦(著)
「子供一人を取って別れるよりほかない。そして母と妹とを呼び寄せて、わずらいのない静かな家庭の空気に頭をひたしでもしなければ……。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それから初めてディルタイやリッケルトをわずらわす「歴史」が始まるのである(人類が死滅した後のことは、「歴史哲学」的形而上学にでも一任しよう)。
科学論 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
一体少し師匠は額の処が抜上ぬけあがって居るたちで、毛が薄い上にびんが腫上っているのだから、実に芝居で致すかさねとかお岩とか云うような顔付でございます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……ハハ、お前知つてるか? 南北と言ふ人の「かさね」と言ふ芝居の中にね、伊右衛門と言ふ悪党が出て来るんだよ。
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
そこで最も身軽な矢川文一郎と、乳飲子ちのみごを抱いた妻というわずらいを有するに過ぎぬ浅越玄隆とをば先に立たせて、渋江一家が跡に残った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
生きてあらんほどの自覚に、生きて受くべき有耶無耶うやむやわずらいを捨てたるは、雲のしゅうを出で、空の朝な夕なを変わると同じく、すべての拘泥こうでいを超絶したる活気である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かれはしば/\左手ゆんでをのべて顏のあたりの霧をはらへり、その疲れし如くなりしはたゞこのわづらひありしためのみ 八二—八四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼はその夫とともに在るをはんやう無きわづらひなれど、又そのひとりを守りてこの家におかるるをもへ難くいぶせきものに思へるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
出版当時有名なる訴訟そしよう事件を惹起じやくきしたるも、また是等艶冶えんやひつるゐする所多かりし由。
それでつね商賣人しやうばいにんるゐきたすものである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
当時はあからさまに言ひがたき事なきにあらざりしかど十年一昔ひとむかしの今となりては、いかに慎みなきわが筆とて最早もはわざわいを人に及さざるべし。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
子の為には、云えまする。万が一にも、赤穂の浪人共のために、不慮ふりょやいばでもむくわれたなら、左兵衛佐さひょうえのすけは、何うなりましょうか。吉良家は、安泰に続きましょうか。又、米沢の当主にも、悪うすれば、わざわいがかからぬとは限りませぬ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
公既に職に在り、しば/\刺客せきかく狙撃そげきする所となり、危難きなんしきりに至る、而かもがう趨避すうひせず。
すでにして幕府の吏と陣を設くるの処を議し、論しきりに合わず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
尤もその頃は今の展覧会向きのような大画幅を滅多に描くものはなかったが、殊に椿岳は画を風流とする心にわずらわせられて、寿命を縮めるような製作を嫌っていた。
「事の成敗せいばい利鈍りどんによって真理はわずらわされませぬ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
我はすでに新しきかわきに責められたれば、そともだせるもうちに曰ふ。恐らくは問ふこと多きに過ぎて我彼をわづらはすならむ。 四—六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
尤も前にも云つたやうに、「負郭ふくわくの田三百畝、半はきびう」と云ふので、いんの為に家産がわづらはされるやうなおそれは、万々ない。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
少年の心は物に感じ易しといふに、吾黨がかくわずらひなくさはりなき世渡するを見て、羨ましとは思はずや。
車主エツツリノは顧みて、否、盜人ぬすびとの巣なり、警察のわずらひ絶ゆる間なければとて、一たび市民の半を山のあなたにうつし、その跡へは餘所より移住せしめしことあり
なおこの歌には、「禍故重畳ちようでふし、凶問しきりに集る。永く崩心の悲みをいだき、独り断腸のなみだを流す。但し両君の大助に依りて、傾命わづかに継ぐのみ。筆言を尽さず、古今の歎く所なり」という詞書が附いている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そして私は手早くいろいろな品物や書類のたまっている中から、手ざわりの角の荒い写真をつまみ出し、それを懐中にしまい曳出しをしめた。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
アレだけの長い閲歴と、相当の識見を擁しながら次第に政友と離れて孤立し、頼みになる腹心も門下生もなく、末路寂寞せきばくとしてわずか廓清かくせい会長として最後の幕を閉じたのはただに清廉や狷介けんかいわざわいしたばかりでもなかったろう。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)