わざわい)” の例文
当時はあからさまに言ひがたき事なきにあらざりしかど十年一昔ひとむかしの今となりては、いかに慎みなきわが筆とて最早もはわざわいを人に及さざるべし。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
よくニスを塗った硬質の木を使った棚も見かけるが、これもわざわいを起しやすい。
又、米沢の当主にも、悪うすれば、わざわいがかからぬとは限りませぬ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今人こんじんの智能古人に比して劣れるが故か。はたまた時勢のわざわいするところか。わたくしは知らない。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
粗悪な録音にわざわいされて、ギーゼキングに対する我らの興味も湧き立たず、そのまま幾年か過ぎ去った頃、不意にギーゼキングが、コロムビアのレコードに新しい技術で吹き込み、少し大袈裟に言えば