“たま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:タマ
語句割合
20.7%
10.4%
8.7%
8.3%
7.6%
弾丸7.2%
4.9%
4.2%
3.9%
3.2%
3.2%
2.9%
2.7%
1.7%
1.2%
0.7%
彈丸0.5%
珠玉0.5%
0.4%
多摩0.3%
0.3%
0.3%
銃丸0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
偶時0.2%
0.2%
銃弾0.2%
電球0.2%
攩網0.1%
0.1%
玉網0.1%
砲弾0.1%
宝玉0.1%
宝石0.1%
0.1%
0.1%
砲丸0.1%
0.1%
墜児0.1%
0.1%
球根0.1%
0.1%
0.1%
宝珠0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
硝子0.1%
0.1%
貯蓄0.1%
0.1%
魂消0.1%
神魂0.0%
0.0%
掬網0.0%
鉄砲0.0%
事件0.0%
吃驚0.0%
子供0.0%
実弾0.0%
小猫0.0%
屍骸0.0%
手纏0.0%
0.0%
撞球0.0%
0.0%
死体0.0%
0.0%
0.0%
爆弾0.0%
珊瑚0.0%
珊瑚珠0.0%
0.0%
0.0%
璞玉0.0%
0.0%
瓊瑶0.0%
0.0%
0.0%
真珠0.0%
0.0%
碧玉0.0%
0.0%
糸玉0.0%
0.0%
0.0%
美女0.0%
美婦0.0%
0.0%
芸人0.0%
薬莢0.0%
見給0.0%
0.0%
身性0.0%
邂逅0.0%
銃玉0.0%
魂魄0.0%
黒球0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あゝ……有難ありがたうよ……うもピリ/\痛んでたまらない……深く切つたと見えて血が止まらない……モシ少々せう/\お願ひがございますがな
だが、その版図の前線一円に渡っては数千万の田虫の列が紫色の塹壕ざんごうを築いていた。塹壕の中にはうみを浮かべた分泌物ぶんぴつぶつたまっていた。
ナポレオンと田虫 (新字新仮名) / 横光利一(著)
算術の最も易い寄せ算をするにしても、散る氣でもつて運算して居たら、桁違をしたり、餘計なたまはじき込んだり仕さうな事である。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
うつくしいてて、たまのやうなこいしをおもしに、けものかはしろさらされたのがひたしてある山川やまがは沿うてくと、やまおくにまたやまがあつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
その上は、済まないけれど、力ずくで取返すから、そう思いたまえ。君をふん縛って、それから捜すんだ。僕は本気で言ってるんだぜ。
どこからかピストルの弾丸たまが風をきって飛んできそうな気がしてならぬ。わが友はその中を恐れもせず、三度みたびユダヤ横丁を徘徊はいかいした。
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)
飯「おれほかたのしみはなく釣がごく好きで、番がこむから、たまには好きな釣ぐらいはしなければならない、それをめてくれては困るな」
「なんでも、あのあたりだよ。」と、あに政二まさじくんは指図さしずをしておいて、自分じぶんは、またおともだちとほかのたま野球やきゅうをつづけていました。
草を分けて (新字新仮名) / 小川未明(著)
「アッハハハ、思った通りだ。アッハハハ、お手の筋だ。はらの皮のよじれる話、飛んだ浮世は猿芝居だ。アッハハハ、こりゃたまらぬ」
村井長庵記名の傘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今若し自身も、千部に満たずにしまふやうなことがあつたら、たまは何になるやら。やつぱり鳥にでも生れて、せつなく鳴き続けることであらう。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「Sさんには、この節はたまにしか逢わない」と三吉は嘆息しながら、「何となく友達の遠く成ったのは、悲しいようなものだネ」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もっとも些少さしょう東西ものなれども、こたびの路用をたすくるのみ。わがわたくし餞別はなむけならず、里見殿さとみどのたまものなるに、いろわで納め給えと言う。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
たまは飛びますが、関金せきがねの噛み合わせが、どうやっても、原品のようにつくれませぬ。もう一息、工夫いたせばと思っておりますが」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三たび撫でまわすと全身がすっきりしてきて、その心地よさが骨髄に沁みるようであった、すると女はそのたまを取ってのどに入れて言った。
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこまで信仰においつめられたと言うよりもむしろ、自らたまのよるべをつきとめて、そこに立ち到ったのだと言う外はない。
山越しの阿弥陀像の画因 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
一五家に久しきをのこ一六黄金わうごん一枚かくし持ちたるものあるを聞きつけて、ちかく召していふ。一七崑山こんざんたまもみだれたる世には瓦礫ぐわれきにひとし。
君の我身を愛し給ふをば、彼の不幸なる日の夕に、彈丸たまのベルナルドオを傷けし時、君が打明け給ひしに先だちて、私はさとり居り候ひぬ。
願う事のかなわばこの黄金、この珠玉たまの飾りを脱いで窓より下に投げ付けて見ばやといえるさまである。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女たちは、唯功徳の為に糸を績いでいる。其でも、其が幾かせ、幾たまと言う風にたまって来ると、言い知れぬ愛著あいちゃくを覚えて居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
同じ持って行くのならたくさん持って行って売った方が好いなんて、いつの間にやら商売気を出してくれたのが、私達の仕合せで、多摩たまの山奥から来た参詣人さんけいにんなどは
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
即ち運動及び多は(吾々の言葉で云えば)ただ弁証法的にしか把握出来ないことをたま々裏から告げているのである。
辞典 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
あらたま、まつろはぬいざことむけむ。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
轟然ごうぜんたる銃声が聞えたと思うよりも早く、ピューッと銃丸たまが二人の耳許みみもとかすめて、廊下の奥の硝子窓をガチャーンと破壊した。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「だから貯金をなさいよ。貴方は喰道楽だから、お金がたまらないのよ。毎月五円宛貯金をなさいよ。そしたら、今年の秋迄には、大島が出来るわ。」
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
青木の春だな花托の白地にころがした赤と青とのぽつとりしたたま
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
叔父は笑いながら、いっさんまるで火事場のようだろう、しかしたまにはこんな騒ぎをして飯を食うのも面白いものだよと云って、間接の言訳をした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何故なぜ?………おれだツて其樣そんなに非人情ひにんじやうに出來てゐる人間ぢやないぞ。偶時たまにはさいの機嫌を取ツて置く必要もある位のことは知ツてゐる。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
女の袖つけから膝へたまって、落葉がうずんだような茶殻をすくって、仰向あおむけた盆の上へ、俊吉がその手のしずくを切った時。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つぶやいた。銃弾たまに当った時計の針が一時半で止まっていたらしい。刑事がそうして死体を調べている間に、警部はボーイを招いて訊問を初めていた。
火縄銃 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
少年は、高いところにいている電灯の電球たまを、ねじって消すために、長い竿竹さおだけ尖端せんたんを、五つほどに割って、繃帯ほうたいで止めてある長道具ながどうぐを担ぐと、急いで駈け出していった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
珠数子釣りは鉤は無くて、餌をわがねて輪を作る、それを鰻が呑み込んだのを攩網たまで掬って捕るという仕方なのだ。
夜の隅田川 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
天井の上にも、縁の下にも、さらに悪気がたまって人をつなんという趣は少しもないのです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
船頭已に玉網たまを手にして起ち、『いではいけません、十分で弱りきるまで痿やして。』と言いつつ例の如く、直ちに水押の上に俯して、半身殆ど船外に出し、左手ゆんでを伸べて
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
あれまでは、トリエステの湾はおろか、アドリヤチックの海の何処にだっても、砲弾たまの殻一つ落ちなかったのではございませんか。その安逸が——いいえ蟄居ちっきょとでも申しましょうか。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それが微光に色付けられ、鈍い真珠の宝玉たまを綴った。滝壺は湯のように煮え立っていた。四辺あたりが明るんで見えるのは、滝が微光に反射するからであろう。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
パッとしたお召の単衣ひとえ黒繻子くろじゅすの丸帯、左右の指に宝石たま入りの金環あたえ高かるべきをさしたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ただ一つ土のなかから、丸いたまと、これについている沢山の麻糸あさいととをみつけだした。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二五近衛院このゑのゐんゆづりましても、二六藐姑射はこややまたまはやしめさせ給ふを、思ひきや、二七麋鹿びろくのかよふ跡のみ見えて、まうでつかふる人もなき深山みやま二八おどろの下に神がくれ給はんとは。
その時我々はもういただき近くにいた。ここいらへも砲丸たまが飛んで来たんでしょうなと聞くと、ここでやられたものは、多く味方の砲丸自身のためです。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
五十尋たらの海が怖うてどないする? ベンゲットでわいが毎日どんな危い目エに会うてたか、いっぺん良う考えてみイ。お父つぁん生きてたら、蝙蝠傘でどたまはり飛ばされるとこやぞ
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
その金扇には珊瑚の墜児たまが付いていた。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
が、にんじんは、本能的に、もう一歩前へ踏み出し、銃を肩につけ、筒先つつさきを押しつけるようにして、ぶっ放した。灰色のたまは、地べたへめり込んだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
桃と白とのこもごものハムは韮の球根たまの香放ち
毎日毎日、母はそうして繋いだ三つか四つの麻糸のたまを風呂敷に包んで、わずかな工賃を貰いに弟を背負っては出かけるのだった。
(新字新仮名) / 金子ふみ子(著)
峯「大きに御苦労だ、何しろ惜しい事をした、肝腎のたまア此の谷へ落しちまった」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
奈良や京都はいざ知らず上野浅草芝山内、江戸にて此塔これに勝るものなし、殊更塵土に埋もれて光も放たず終るべかりし男を拾ひあげられて、心の宝珠たまの輝きを世に発出いだされし師の美徳
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
たまはしるんだね。」
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
柵と桜樹の間には一条の浅い溝があつて、むすばばつて掌上てのひらたまともなるべき程澄みに澄んだ秋の水が、白い柵と紅い桜の葉の影とを浮べて流れて居る。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
たまうてなに咲き纏ふ
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
言い忘れていたが、博士は、これも、ひとりの英吉利イギリス旦那からの拝領物であるところの、硝子たまの欠けた鼻眼鏡をかけているのである。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
生きてゐるうちに、大著述にでも纏められゝば結構だが、あれで死んで仕舞つちやあ、反古ほごたまる許だ。実に詰らない。と嘆息してゐた事がある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ちっとは貯蓄たまったか。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「駄目だよ。あの腐った性根は死ぬまで直りっこないよ。たまに神妙にしていると思えば、きっと何か企んでいるんだからね。僕はあれが谷にでも落ちて死んでしまえばいゝと思っているよ」
……さすがのわしもアッと魂消たまげて、生きた気もなく座敷の中で立ちすくんだまま
顎十郎捕物帳:15 日高川 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
また神魂たまは骸と分かりては、なお清くきよかるいわれありとみえて、火の汚穢けがれをいみじくみ、その祭祠まつりをなすにも、けがれのありては、そのまつりを受けざるなり
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
人死にて神魂たま亡骸なきがらと二つにわかりたる上にては、なきがら汚穢きたなきものの限りとなり、さては夜見よみの国の物にことわりなれば、その骸に触れたる火にけがれのできるなり。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
……僕は苦しくつてたまらなくなると何時でも田舎に逃出すんです。今度も然うです、畢竟つまり、僕自身にもまだロマンチツクが沢山うんと残つてます。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
モウ心配で心配でたまらなくなつて、今もそつと吉野の室に行つて、その帰りの遅きを何の為かと話してゐた所。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかし魚はすくえるどころではなかったので、千代子はすぐそれを船頭に返した。船頭は同じ掬網たまで叔父の命ずるままに何疋でも水から上へり出した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
高木は大きな掬網たまを千代子に握らした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なに、平蜘蛛ひらぐもかまと、自分の首とに、鉄砲たまぐすりを仕掛けて、粉々に砕けと遺言して腹を切ったとか。……あははは、おもしろい悪党。強情なおやじではある。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてその通り、落城の日は、自分の首も、平蜘蛛の釜も、鉄砲たまぐすりを仕掛けて、粉々にくだいてしまうように家臣へいいつけ——その上で腹を切った。よほど忌々いまいましかったのであろう。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それが自分で競り上ったってえからにゃあ、屍骸は美野でねえはずだ。不審な事件たまほど、手がけてみりゃあお茶の子さいさいよ。なあ彦。」
いいらぶつ吃驚たまげた真似まね仕出しでかし申してのおまへさま。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そしてそれまでは、大事なスタフだから、先方もチャアリイに害を加えるようなことはあるまい。せっかくの子供たまを殺してしまったりしては、もとも子もないからである。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
(内へけものが出た、来てくれせえ。)と顔色がんしょく、手ぶりであえいで言うので。……こんな時鉄砲は強うございますよ、ガチリ、実弾たまをこめました。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
屍骸たま発見めっけたなあ誰だ?」
なお宣長のりながの「あら玉来経きふる」説、即ち年月の経過するうつという意。久老ひさおいの「たま来経きふる」説。雅澄まさずみの「手纏たまく」説等がある。宇智うちうちと同音だからそう用いた。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ついては、御親類樣方御一統の思召をたまはり、御異存がなければ明日にも公儀に屆出の上、改めて世間へも披露いたしたいと存じます。
牌の触れ合ふ、それは撞球たまの音にも似てゐるが、(滝には名状し難い!)もつと微々たる、囁きのやうな音が、苛々しくもあり、羽毛の先で擽られるやうでもあり、薄ら甘く頭にひゞいた。
昔の歌留多 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
みんなの御機嫌は既に全然がらっと変っている。して見るとたまには川に落ちるのも、大阪の伯父さんの言葉を借りていえば、川にはまるのも、満更損じゃないと思う。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「常さんがお長屋に居残って死体たまの番、あっしゃあひとまず飛んで帰ったわけだが、親分、すぐにも出向いておくんなせえ。」
由って推し考うるに、獣類が蓄えた果物もしくは食べ残しがたまってうまく醗酵するはあり得る事だ。
と大喝しながら投げ出したと思ったが、その時遅くの時早く、シューシューと火をく黒い爆弾たまがおやじの手から三尺ばかりも離れたと見るうちに、眼もくらむような黄色い閃光がサッと流れた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
牡丹形の蒔絵まきえの櫛に金足の珊瑚たまさしもの、貞之進は我伏糸わがふしいとが見られるようで、羽織の襟をそっとひっぱって居たもおかしかった。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
差櫛くし珊瑚珠たまのついた鼈甲べっこうの簪を懐紙につつんで帯の間へ大事そうにしまいこみ、つまさきを帯止めにはさんで、おしりをはしょった。
をとめは餓ゑてすべもなく、 胸なるたまをゆさぶりぬ。
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「艶じゃア無い、真個ほんとにサ。如才が無くッてお世辞がよくッて男振も好けれども、唯物喰ものぐいのわりいのが可惜あったらたまきずだッて、オホホホホ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
しかるにたびたび言うとおり僕は他山たざん瓦礫がれきとらえ来たって、自国の璞玉たまに比してみずからかいとするのなることを信ずるから、常に他山の石をりて自分の玉をみがくの用に供したいと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ここに水をば飮まさずして、御頸のたまを解かして、口にふふみてその玉盌につばれたまひき。ここにその璵、もひに著きて一〇、婢璵をえ離たず、かれ著きながらにして豐玉毘賣の命に進りき。
その遊廊には錦繍にしききものを着て瓊瑶たまの帯をした絵で見る仙女のような若い女が往来ゆききしていて、それが二人と擦れ違うことがあった。その若い女達は青年をじろじろと見て往った。
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
悲しみの為か心なしやつれの見える夫人の容貌かおは、暗緑の勝ったアフタヌーン・ドレスの落着いた色地によくうつりあって、それが又二人の訪問者にはたまらなく痛々しげに思われた。
花束の虫 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
坊主ばうずはなしたんです。……ぢや、老爺おぢいさん——老人らうじん貴下あなたなら、貴下あなた坊主ばうずはなされた、とふ、じやうぬまこひふなは、あみすくへばれうはあるが、びくれるとぐにえて、一尾いつぴきそこたまらぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
誕生日祝ひて真珠たまのかんざしの小さきをひとつ養母ははに贈りぬ
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
金箔きんぱくを押した磔刑柱はりつけばしらを馬の前に立てて上洛したのは此時の事で、それがしの花押かきはん鶺鴒せきれいの眼のたまは一月に三たび処をえまする、此の書面の花押はそれがしの致したるには無之これなく
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
柳の間をもれる日の光が金色こんじきの線を水のうちに射て、澄み渡った水底みなぞこ小砂利じゃりが銀のように碧玉たまのように沈んでいる。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
なお宣長のりながの「あら玉来経きふる」説、即ち年月の経過するうつという意。久老ひさおいの「たま来経きふる」説。雅澄まさずみの「手纏たまく」説等がある。宇智うちうちと同音だからそう用いた。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「解けねえか。よし、糸玉たまの上から切ってしまえ。」
そして私は手早くいろいろな品物や書類のたまっている中から、手ざわりの角の荒い写真をつまみ出し、それを懐中にしまい曳出しをしめた。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
暫く翻訳というものから遠ざかっていたので、フローベールやモーパッサンを訳しつつ、たまには翻訳も修業になってよいものだと思った。
銷夏漫筆 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
「うん……こんな美女たまを龍平の野郎め、よろしく、ひとりで永々ながながと楽しんでいやがったんだから、ああなったのも、男冥利みょうりに尽きたんだろう」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「オオオオこいつア見遁せねえなあ! どうでえどうでえこの美婦たまは!」
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
梅、すもも、桜、けやき銀杏いちょうなぞの霜葉は、その一日でことごとく落ちた。そして、そこここにたまった落葉が風に吹かれては舞い揚った。急に山々の景色はさびしく、明るく成った。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
女太夫の白秀英はくしゅうえいと、こんどの知事とは、もうだいぶお古いレコなんですぜ。何しろい女でさあネ。こんな田舎いなかへ小屋掛けに来る芸人たまじゃあねえ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男はへやの隅から鉄砲を持ちだすが早いか、銃身をはねかえして薬莢たま二個ふたつ挿しこんで、それから、射撃するために窓を開けようとしたが、ふと、子供が銃声におびえてはいけないと気づいたので
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
故に将士は営に至れば、すなわち休息するを得、いとまあれば王射猟しゃりょうして地勢を周覧し、きんれば将士にわかち、塁を抜くごとにことごとるところの財物をたまう。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此消息このせうそく人目ひとめせきはヾかりもなく、玉簾たまだれやすやすえて、るは邂逅たまなる令孃ひめ便たよりをさとし日毎ひごとるばかり、事故よしありげなるこヽろそこも、此處こヽにはじめて朧々おぼろ/\わかれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
銃玉たまが二月の樺の木の幹へ穴をあけた陰気な光景などを、彼の逸話として得た。
(新字新仮名) / 宮本百合子(著)
黄金丸はやや暁得さとりて、「さてはわが亡親なきおや魂魄たま、仮に此処ここに現はれて、わが危急を救ひ給ふか。阿那あな感謝かたじけなし」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
黒球たまの中までも赤くにじんで、ただれてゐるやうに見えた。夜になつて床に就くと、私は眠るのが恐しくなつた。眠つてゐるまにもう見えなくなつてしまつてゐるかも知れないからである。
外に出た友 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)