“たま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:タマ
語句割合
堪20.8%
溜10.4%
珠8.7%
玉8.3%
給7.6%
弾丸7.2%
偶4.9%
球4.2%
耐3.8%
魂3.2%
稀3.2%
賜2.9%
弾2.7%
丸1.7%
霊1.2%
璧0.7%
彈丸0.5%
珠玉0.5%
貯0.4%
多摩0.3%
適0.3%
靈0.3%
銃丸0.3%
蓄0.2%
団0.2%
会0.2%
偶時0.2%
湛0.2%
銃弾0.2%
電球0.2%
攩網0.1%
滞0.1%
玉網0.1%
砲弾0.1%
宝玉0.1%
宝石0.1%
環0.1%
瓊0.1%
砲丸0.1%
頭0.1%
墜児0.1%
毬0.1%
球根0.1%
塊0.1%
女0.1%
宝珠0.1%
彈0.1%
晶0.1%
瑤0.1%
硝子0.1%
積0.1%
貯蓄0.1%
遇0.1%
魂消0.1%
神魂0.0%
怺0.0%
掬網0.0%
鉄砲0.0%
事件0.0%
吃驚0.0%
子供0.0%
実弾0.0%
小猫0.0%
屍骸0.0%
手纏0.0%
承0.0%
撞球0.0%
時0.0%
死体0.0%
渟0.0%
瀦0.0%
爆弾0.0%
珊瑚0.0%
珊瑚珠0.0%
珞0.0%
瑜0.0%
璞玉0.0%
璵0.0%
瓊瑶0.0%
甚0.0%
留0.0%
真珠0.0%
睛0.0%
碧玉0.0%
程0.0%
糸玉0.0%
累0.0%
罕0.0%
美女0.0%
美婦0.0%
聚0.0%
芸人0.0%
薬莢0.0%
見給0.0%
賚0.0%
身性0.0%
邂逅0.0%
銃玉0.0%
魂魄0.0%
黒球0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あゝ……有難(ありがた)うよ……何(ど)うもピリ/\痛んで堪(たま)らない……深く切つたと見えて血が止まらない……モシ少々(せう/\)お願ひがございますがな
だが、その版図の前線一円に渡っては数千万の田虫の列が紫色の塹壕(ざんごう)を築いていた。塹壕の中には膿(うみ)を浮かべた分泌物(ぶんぴつぶつ)が溜(たま)っていた。
ナポレオンと田虫 (新字新仮名) / 横光利一(著)
算術の最も易い寄せ算をするにしても、散る氣でもつて運算して居たら、桁違をしたり、餘計な珠(たま)を彈(はじ)き込んだり仕さうな事である。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
美(うつく)しい瀬(せ)を立(た)てて、玉(たま)のやうな礫(こいし)をおもしに、獸(けもの)の皮(かは)の白(しろ)く晒(さら)されたのが浸(ひた)してある山川(やまがは)に沿(そ)うて行(ゆ)くと、山(やま)の奧(おく)にまた山(やま)があつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
その上は、済まないけれど、力ずくで取返すから、そう思い給(たま)え。君をふん縛って、それから捜すんだ。僕は本気で言ってるんだぜ。
どこからかピストルの弾丸(たま)が風をきって飛んできそうな気がしてならぬ。わが友はその中を恐れもせず、三度(みたび)ユダヤ横丁を徘徊(はいかい)した。
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)
飯「己(おれ)は外(ほか)に楽(たのし)みはなく釣が極(ごく)好きで、番がこむから、偶(たま)には好きな釣ぐらいはしなければならない、それを止(と)めてくれては困るな」
「なんでも、あのあたりだよ。」と、兄(あに)の政二(まさじ)くんは指図(さしず)をしておいて、自分(じぶん)は、またお友(とも)だちとほかの球(たま)で野球(やきゅう)をつづけていました。
草を分けて (新字新仮名) / 小川未明(著)
「アッハハハ、思った通りだ。アッハハハ、お手の筋だ。肚(はら)の皮のよじれる話、飛んだ浮世は猿芝居だ。アッハハハ、こりゃ耐(たま)らぬ」
村井長庵記名の傘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今若し自身も、千部に満たずにしまふやうなことがあつたら、魂(たま)は何になるやら。やつぱり鳥にでも生れて、切(せつ)なく鳴き続けることであらう。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「Sさんには、この節は稀(たま)にしか逢わない」と三吉は嘆息しながら、「何となく友達の遠く成ったのは、悲しいようなものだネ」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もっとも些少(さしょう)の東西(もの)なれども、こたびの路用を資(たす)くるのみ。わが私(わたくし)の餞別(はなむけ)ならず、里見殿(さとみどの)の賜(たま)ものなるに、辞(いろ)わで納め給えと言う。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「弾(たま)は飛びますが、関金(せきがね)の噛み合わせが、どうやっても、原品のようにつくれませぬ。もう一息、工夫いたせばと思っておりますが」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三たび撫でまわすと全身がすっきりしてきて、その心地よさが骨髄に沁みるようであった、すると女はその丸(たま)を取って咽(のど)に入れて言った。
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこまで信仰においつめられたと言うよりも寧(むしろ)、自ら霊(たま)のよるべをつきとめて、そこに立ち到ったのだと言う外はない。
山越しの阿弥陀像の画因 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
一五家に久しき男(をのこ)に一六黄金(わうごん)一枚かくし持ちたるものあるを聞きつけて、ちかく召していふ。一七崑山(こんざん)の璧(たま)もみだれたる世には瓦礫(ぐわれき)にひとし。
君の我身を愛し給ふをば、彼の不幸なる日の夕に、彈丸(たま)のベルナルドオを傷けし時、君が打明け給ひしに先だちて、私は疾(と)く曉(さと)り居り候ひぬ。
願う事の叶(かな)わばこの黄金、この珠玉(たま)の飾りを脱いで窓より下に投げ付けて見ばやといえる様(さま)である。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女たちは、唯功徳の為に糸を績いでいる。其でも、其が幾かせ、幾たまと言う風に貯(たま)って来ると、言い知れぬ愛著(あいちゃく)を覚えて居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
同じ持って行くのならたくさん持って行って売った方が好いなんて、いつの間にやら商売気を出してくれたのが、私達の仕合せで、多摩(たま)の山奥から来た参詣人(さんけいにん)などは
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
即ち運動及び多は(吾々の言葉で云えば)ただ弁証法的にしか把握出来ないことを適(たま)々裏から告げているのである。
辞典 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
荒(あら)み靈(たま)、まつろはぬいざことむけむ。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
轟然(ごうぜん)たる銃声が聞えたと思うよりも早く、ピューッと銃丸(たま)が二人の耳許(みみもと)を掠(かす)めて、廊下の奥の硝子窓をガチャーンと破壊した。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「だから貯金をなさいよ。貴方は喰道楽だから、お金が蓄(たま)らないのよ。毎月五円宛貯金をなさいよ。そしたら、今年の秋迄には、大島が出来るわ。」
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
青木の春だな花托の白地にころがした赤と青とのぽつとりした団(たま)
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
叔父は笑いながら、市(いっ)さんまるで火事場のようだろう、しかし会(たま)にはこんな騒ぎをして飯を食うのも面白いものだよと云って、間接の言訳をした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「何故(なぜ)?………俺(おれ)だツて其樣(そん)なに非人情(ひにんじやう)に出來てゐる人間ぢやないぞ。偶時(たま)には妻(さい)の機嫌を取ツて置く必要もある位のことは知ツてゐる。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
女の袖つけから膝へ湛(たま)って、落葉が埋(うず)んだような茶殻を掬(すく)って、仰向(あおむ)けた盆の上へ、俊吉がその手の雫(しずく)を切った時。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と呟(つぶ)やいた。銃弾(たま)に当った時計の針が一時半で止まっていたらしい。刑事がそうして死体を調べている間に、警部はボーイを招いて訊問を初めていた。
火縄銃 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
少年は、高いところに点(つ)いている電灯の電球(たま)を、ねじって消すために、長い竿竹(さおだけ)の尖端(せんたん)を、五つほどに割って、繃帯(ほうたい)で止めてある長道具(ながどうぐ)を担ぐと、急いで駈け出していった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
珠数子釣りは鉤は無くて、餌を綰(わが)ねて輪を作る、それを鰻が呑み込んだのを攩網(たま)で掬って捕るという仕方なのだ。
夜の隅田川 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
天井の上にも、縁の下にも、さらに悪気が滞(たま)って人を撲(う)つなんという趣は少しもないのです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
船頭已に玉網(たま)を手にして起ち、『急(せ)いではいけません、十分で弱りきるまで痿やして。』と言いつつ例の如く、直ちに水押の上に俯して、半身殆ど船外に出し、左手(ゆんで)を伸べて
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
あれまでは、トリエステの湾はおろか、アドリヤチックの海の何処にだっても、砲弾(たま)の殻一つ落ちなかったのではございませんか。その安逸が——いいえ蟄居(ちっきょ)とでも申しましょうか。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それが微光に色付けられ、鈍い真珠の宝玉(たま)を綴った。滝壺は湯のように煮え立っていた。四辺(あたり)が明るんで見えるのは、滝が微光に反射するからであろう。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
パッとしたお召の単衣(ひとえ)に黒繻子(くろじゅす)の丸帯、左右の指に宝石(たま)入りの金環価(あたえ)高かるべきをさしたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ただ一つ土のなかから、丸い環(たま)と、これについている沢山の麻糸(あさいと)とをみつけだした。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二五近衛院(このゑのゐん)に禅(ゆづ)りましても、二六藐姑射(はこや)の山(やま)の瓊(たま)の林(はやし)に禁(し)めさせ給ふを、思ひきや、二七麋鹿(びろく)のかよふ跡のみ見えて、詣(まう)でつかふる人もなき深山(みやま)の二八荊(おどろ)の下に神がくれ給はんとは。
その時我々はもう頂(いただき)近くにいた。ここいらへも砲丸(たま)が飛んで来たんでしょうなと聞くと、ここでやられたものは、多く味方の砲丸自身のためです。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
五十尋たらの海が怖うてどないする? ベンゲットでわいが毎日どんな危い目エに会うてたか、いっぺん良う考えてみイ。お父つぁん生きてたら、蝙蝠傘でど頭(たま)はり飛ばされるとこやぞ
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
その金扇には珊瑚の墜児(たま)が付いていた。
雷峯塔物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
が、にんじんは、本能的に、もう一歩前へ踏み出し、銃を肩につけ、筒先(つつさき)を押しつけるようにして、ぶっ放した。灰色の毬(たま)は、地べたへめり込んだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
桃と白とのこもごものハムは韮の球根(たま)の香放ち
毎日毎日、母はそうして繋いだ三つか四つの麻糸の塊(たま)を風呂敷に包んで、わずかな工賃を貰いに弟を背負っては出かけるのだった。
父 (新字新仮名) / 金子ふみ子(著)
峯「大きに御苦労だ、何しろ惜しい事をした、肝腎の女(たま)ア此の谷へ落しちまった」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
奈良や京都はいざ知らず上野浅草芝山内、江戸にて此塔(これ)に勝るものなし、殊更塵土に埋もれて光も放たず終るべかりし男を拾ひあげられて、心の宝珠(たま)の輝きを世に発出(いだ)されし師の美徳
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「彈(たま)が走(はし)るんだね。」
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
柵と桜樹の間には一条の浅い溝があつて、掬(むす)ばば凝(こ)つて掌上(てのひら)に晶(たま)ともなるべき程澄みに澄んだ秋の水が、白い柵と紅い桜の葉の影とを浮べて流れて居る。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
瑤(たま)の臺(うてな)に咲き纏ふ
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
言い忘れていたが、博士は、これも、ひとりの英吉利(イギリス)旦那からの拝領物であるところの、硝子(たま)の欠けた鼻眼鏡をかけているのである。
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
生きてゐるうちに、大著述にでも纏められゝば結構だが、あれで死んで仕舞つちやあ、反古(ほご)が積(たま)る許だ。実に詰らない。と嘆息してゐた事がある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「ちっとは貯蓄(たま)ったか。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「駄目だよ。あの腐った性根は死ぬまで直りっこないよ。遇(たま)に神妙にしていると思えば、きっと何か企んでいるんだからね。僕はあれが谷にでも落ちて死んで終(しま)えばいゝと思っているよ」
……さすがのわしもアッと魂消(たま)げて、生きた気もなく座敷の中で立ちすくんだまま
顎十郎捕物帳:15 日高川 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
また神魂(たま)は骸と分かりては、なお清く潔(きよ)かる謂(いわ)れありとみえて、火の汚穢(けがれ)をいみじく忌(い)み、その祭祠(まつり)をなすにも、汚(けがれ)のありては、その享(まつり)を受けざるなり
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
人死にて神魂(たま)と亡骸(なきがら)と二つに別(わかり)たる上にては、骸(なきがら)は汚穢(きたなき)ものの限りとなり、さては夜見(よみ)の国の物に属(つ)く理(ことわり)なれば、その骸に触れたる火に汚(けがれ)のできるなり。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
……僕は苦しくつて怺(たま)らなくなると何時でも田舎に逃出すんです。今度も然うです、畢竟(つまり)、僕自身にもまだロマンチツクが沢山(うんと)残つてます。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
モウ心配で心配で怺(たま)らなくなつて、今も密(そつ)と吉野の室に行つて、その帰りの遅きを何の為かと話してゐた所。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかし魚は掬(すく)えるどころではなかったので、千代子はすぐそれを船頭に返した。船頭は同じ掬網(たま)で叔父の命ずるままに何疋でも水から上へ択(よ)り出した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
高木は大きな掬網(たま)の柄(え)を千代子に握らした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なに、平蜘蛛(ひらぐも)の釜(かま)と、自分の首とに、鉄砲(たま)ぐすりを仕掛けて、粉々に砕けと遺言して腹を切ったとか。……あははは、おもしろい悪党。強情なおやじではある。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてその通り、落城の日は、自分の首も、平蜘蛛の釜も、鉄砲(たま)ぐすりを仕掛けて、粉々にくだいてしまうように家臣へいいつけ——その上で腹を切った。よほど忌々(いまいま)しかったのであろう。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それが自分で競り上ったってえからにゃあ、屍骸は美野でねえはずだ。不審な事件(たま)ほど、手がけてみりゃあお茶の子さいさいよ。なあ彦。」
いいらぶつ吃驚(たま)げた真似(まね)仕出(しで)かし申してのお前(まへ)さま。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そしてそれまでは、大事な玉(スタフ)だから、先方もチャアリイに害を加えるようなことはあるまい。せっかくの子供(たま)を殺してしまったりしては、もとも子もないからである。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
(内へ怪(ば)けものが出た、来てくれせえ。)と顔色(がんしょく)、手ぶりで喘(あえ)いで言うので。……こんな時鉄砲は強うございますよ、ガチリ、実弾(たま)をこめました。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「屍骸(たま)あ発見(めっ)けたなあ誰だ?」
なお宣長(のりなが)の「あら玉来経(きふ)る」説、即ち年月の経過する現(うつ)という意。久老(ひさおい)の「程(たま)来経(きふ)る」説。雅澄(まさずみ)の「手纏(たま)き佩(は)く」説等がある。宇智(うち)と内(うち)と同音だからそう用いた。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
就(つい)ては、御親類樣方御一統の思召を承(たま)はり、御異存がなければ明日にも公儀に屆出の上、改めて世間へも披露いたしたいと存じます。
牌の触れ合ふ、それは撞球(たま)の音にも似てゐるが、(滝には名状し難い!)もつと微々たる、囁きのやうな音が、苛々しくもあり、羽毛の先で擽られるやうでもあり、薄ら甘く頭にひゞいた。
昔の歌留多 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
皆(みんな)の御機嫌は既に全然(がらっと)変っている。して見ると時(たま)には川に落ちるのも、大阪の伯父さんの言葉を借りていえば、川に陥(はま)るのも、満更損じゃないと思う。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「常さんがお長屋に居残って死体(たま)の番、あっしゃあひとまず飛んで帰ったわけだが、親分、すぐにも出向いておくんなせえ。」
由って推し考うるに、獣類が蓄えた果物もしくは食べ残しが瀦(たま)って旨(うま)く醗酵するはあり得る事だ。
と大喝しながら投げ出したと思ったが、その時遅く彼(か)の時早く、シューシューと火を噴(ふ)く黒い爆弾(たま)がおやじの手から三尺ばかりも離れたと見るうちに、眼も眩(くら)むような黄色い閃光がサッと流れた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
牡丹形の蒔絵(まきえ)の櫛に金足の珊瑚(たま)の簪(さしもの)、貞之進は我伏糸(わがふしいと)が見られるようで、羽織の襟をそっとひっぱって居たもおかしかった。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
差櫛(くし)や珊瑚珠(たま)のついた鼈甲(べっこう)の簪を懐紙につつんで帯の間へ大事そうにしまいこみ、褄(つま)さきを帯止めにはさんで、お尻(しり)をはしょった。
をとめは餓ゑてすべもなく、 胸なる珞(たま)をゆさぶりぬ。
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「艶じゃア無い、真個(ほんと)にサ。如才が無くッてお世辞がよくッて男振も好けれども、唯物喰(ものぐ)いの悪(わり)いのが可惜(あったら)瑜(たま)に疵(きず)だッて、オホホホホ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
しかるにたびたび言うとおり僕は他山(たざん)の瓦礫(がれき)を捕(とら)え来たって、自国の璞玉(たま)に比してみずから快(かい)とするの愚(ぐ)なることを信ずるから、常に他山の石を藉(か)りて自分の玉を磨(みが)くの用に供したいと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ここに水をば飮まさずして、御頸の璵(たま)を解かして、口に含(ふふ)みてその玉盌に唾(つば)き入(い)れたまひき。ここにその璵、器(もひ)に著きて一〇、婢璵をえ離たず、かれ著きながらにして豐玉毘賣の命に進りき。
その遊廊には錦繍(にしき)の衣(きもの)を着て瓊瑶(たま)の帯をした絵で見る仙女のような若い女が往来(ゆきき)していて、それが二人と擦れ違うことがあった。その若い女達は青年をじろじろと見て往った。
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
悲しみの為か心なしやつれの見える夫人の容貌(かお)は、暗緑の勝ったアフタヌーン・ドレスの落着いた色地によくうつりあって、それが又二人の訪問者には甚(たま)らなく痛々しげに思われた。
花束の虫 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
と其(そ)の坊主(ばうず)が話(はな)したんです。……ぢや、老爺(おぢい)さん——老人(らうじん)が貴下(あなた)なら、貴下(あなた)が坊主(ばうず)に話(はな)された、と云(い)ふ、城(じやう)ヶ沼(ぬま)の鯉(こひ)鮒(ふな)は、網(あみ)で掬(すく)へば漁(れう)はあるが、畚(びく)に入(い)れると直(す)ぐに消(き)えて、一尾(いつぴき)も底(そこ)に留(たま)らぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
誕生日祝ひて真珠(たま)のかんざしの小さきをひとつ養母(はは)に贈りぬ
遺愛集:02 遺愛集 (新字新仮名) / 島秋人(著)
金箔(きんぱく)を押した磔刑柱(はりつけばしら)を馬の前に立てて上洛したのは此時の事で、それがしの花押(かきはん)の鶺鴒(せきれい)の眼の睛(たま)は一ト月に三たび処を易(か)えまする、此の書面の花押はそれがしの致したるには無之(これなく)
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
柳の間をもれる日の光が金色(こんじき)の線を水の中(うち)に射て、澄み渡った水底(みなぞこ)の小砂利(じゃり)が銀のように碧玉(たま)のように沈んでいる。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
なお宣長(のりなが)の「あら玉来経(きふ)る」説、即ち年月の経過する現(うつ)という意。久老(ひさおい)の「程(たま)来経(きふ)る」説。雅澄(まさずみ)の「手纏(たま)き佩(は)く」説等がある。宇智(うち)と内(うち)と同音だからそう用いた。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「解けねえか。よし、糸玉(たま)の上から切ってしまえ。」
そして私は手早くいろいろな品物や書類の累(たま)っている中から、手ざわりの角の荒い写真をつまみ出し、それを懐中にしまい曳出しをしめた。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
暫く翻訳というものから遠ざかっていたので、フローベールやモーパッサンを訳しつつ、罕(たま)には翻訳も修業になってよいものだと思った。
銷夏漫筆 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
「うん……こんな美女(たま)を龍平の野郎め、よろしく、ひとりで永々(ながなが)と楽しんでいやがったんだから、ああなったのも、男冥利(みょうり)に尽きたんだろう」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「オオオオこいつア見遁せねえなあ! どうでえどうでえこの美婦(たま)は!」
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
梅、李(すもも)、桜、欅(けやき)、銀杏(いちょう)なぞの霜葉は、その一日で悉(ことごと)く落ちた。そして、そこここに聚(たま)った落葉が風に吹かれては舞い揚った。急に山々の景色は淋(さび)しく、明るく成った。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
女太夫の白秀英(はくしゅうえい)と、こんどの知事とは、もうだいぶお古いレコなんですぜ。何しろ美(い)い女でさあネ。こんな田舎(いなか)へ小屋掛けに来る芸人(たま)じゃあねえ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男は室(へや)の隅から鉄砲を持ちだすが早いか、銃身をはねかえして薬莢(たま)を二個(ふたつ)挿しこんで、それから、射撃するために窓を開けようとしたが、ふと、子供が銃声に怖(おび)えてはいけないと気づいたので
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
故に将士は営に至れば、即(すなわ)ち休息するを得、暇(いとま)あれば王射猟(しゃりょう)して地勢を周覧し、禽(きん)を得(う)れば将士に頒(わか)ち、塁を抜くごとに悉(ことごと)く獲(う)るところの財物を賚(たま)う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此消息(このせうそく)は人目(ひとめ)の關(せき)の憚(はヾか)りもなく、玉簾(たまだれ)やすやす越(こ)えて、見(み)るは邂逅(たま)なる令孃(ひめ)の便(たよ)りを敏(さとし)は日毎(ひごと)に手(て)に取(と)るばかり、事故(よし)ありげなる心(こヽろ)の底(そこ)も、此處(こヽ)にはじめて朧々(おぼろ/\)わかれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
銃玉(たま)が二月の樺の木の幹へ穴をあけた陰気な光景などを、彼の逸話として得た。
街 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
黄金丸はやや暁得(さと)りて、「さてはわが亡親(なきおや)の魂魄(たま)、仮に此処(ここ)に現はれて、わが危急を救ひ給ふか。阿那(あな)感謝(かたじけな)し」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
黒球(たま)の中までも赤くにじんで、ただれてゐるやうに見えた。夜になつて床に就くと、私は眠るのが恐しくなつた。眠つてゐるまにもう見えなくなつてしまつてゐるかも知れないからである。
外に出た友 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)