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たま
ふりがな文庫
“
丸
(
たま
)” の例文
車夫は
諸声
(
いっせい
)
に
凱歌
(
かちどき
)
を揚げ、勢いに乗じて二歩を抽き、三歩を抽き、ますます
馳
(
は
)
せて、軽迅
丸
(
たま
)
の
跳
(
おど
)
るがごとく二、三間を先んじたり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三たび撫でまわすと全身がすっきりしてきて、その心地よさが骨髄に沁みるようであった、すると女はその
丸
(
たま
)
を取って
咽
(
のど
)
に入れて言った。
嬌娜
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その次に「強い風だ。いよいよこれから死にに行く。
丸
(
たま
)
に
中
(
あた
)
って
仆
(
たお
)
れるまで旗を振って進むつもりだ。
御母
(
おっか
)
さんは、寒いだろう」
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
男は石膏の
丸
(
たま
)
を放つこと雨より繁かりしかど、屈せずしてかの竿を
撓
(
たわ
)
ませんとせしに、竿は半ばよりほきと折れて、燭の
束
(
たば
)
ははたと落つ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
和蘭風な
打扮
(
いでたち
)
で、尖柱戯をして居るのに
邂逅
(
であ
)
つたことがある、かれもある夏の昼過に、
丸
(
たま
)
を転ばすやうな音を聞いたことがあるといひます。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
▼ もっと見る
煙管の針の先きで、
飴
(
あめ
)
のような阿片の
丸
(
たま
)
が慄えながらじいじいと音を立てた。豚の足は所々に乱毛をつけたまま乾いた
蹄
(
ひづめ
)
を鍋の中から出していた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ピストルの
丸
(
たま
)
は前額に深く這入っていたがまだ
縡
(
こと
)
切れてはいなかった。余はその知覚を失いながら半身を動かしつつある古白君をただ
呆
(
あき
)
れて眺めた。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
不思議、不思議、見渡す限り人影もないのにどこからともなくピストルの
丸
(
たま
)
が飛んで来て、少年の胸を射抜いたのだ。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「あの
丸
(
たま
)
はわたくしが受け止めます」と言って、小姓が権右衛門の前に立つと、丸が来てあたった。小姓は即死した。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鵠
(
くゞひ
)
がゐる。尼さん達が通るのです。長い黒い列を作つて通るのです。石炭の
丸
(
たま
)
を緒に
貫
(
ぬ
)
いたやうな工合ですね。年上のと若いのと並んで行くのもある。
尼
(新字旧仮名)
/
グスターフ・ウィード
(著)
かの己が
傲慢
(
たかぶり
)
の爲遂に滅ぶにいたれる
家族
(
やから
)
もわが見し頃はいかなりしぞや、
黄金
(
こがね
)
の
丸
(
たま
)
はそのすべての偉業をもてフィオレンツァを飾り 一〇九—一一一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ちょうど、重い鉄の
丸
(
たま
)
が、赤く焼け切っているように
奈落
(
ならく
)
へと沈んで行く。壁
一重
(
ひとえ
)
隔てた、森が沈黙している。
森の暗き夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
蔵ハ論じて是ほどの近ニて地へふしても、
丸
(
たま
)
の
飛行事
(
とびゆくこと
)
ハ早きものゆへ、
むへき
(
無益
)
なりとてよく
しんぼふ
(
辛抱
)
致し、
つきた
(
突き立
)
ちてよくさしづ致し、蔵がじまんニて候。
手紙:018 慶応元年九月九日 池内蔵太家族あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
この時もいたく胸騒ぎして、平生魔除けとして危急の時のために用意したる黄金の
丸
(
たま
)
を取り出し、これに
蓬
(
よもぎ
)
を巻きつけて打ち放したれど、鹿はなほ動かず。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
しかし法律上の沙汰でエリオットが同時に射た二銃とも
丸
(
たま
)
を込みいた確証なしとの一点より無罪と宣告された。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
少し気のきいたのが、然らば鉄砲の
丸
(
たま
)
も上る事は出来ないのであるかと、反問したのでそのままになった。
碧蹄館の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その男が今や、鉄棒の両端に鉛の
丸
(
たま
)
のついてる一種の
玄翁
(
げんのう
)
をルブラン氏の頭めがけて振り上げた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
龍馬は又一発響かせて一人倒しましたが
丸
(
たま
)
は五ツしか込て無かつたので後一発となつたのです。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
八尺程の距離を置いた台から台へ、五貫目ばかりの鉄の
丸
(
たま
)
を、繰返へし繰返へし、置き換へさせるのですが、何が苦しいと云つて、あの位、囚人に苦しいものはありますまい。
猿
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
謀叛人
(
むほんにん
)
がこの屋敷へきりこんだというわけでもなく、また謀叛が発覚して御用の手が混み入ったというわけでもなく、ただ一発の弾丸が——それも無論、大砲の
丸
(
たま
)
ではなく小銃の弾丸が
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
甚五郎爺は薬だと云って鳥の「きも」を出すとすぐ
生
(
なま
)
のまんまのむと聞いて、私は喉へ
丸
(
たま
)
が上って来るようだった。鳥にも「きも」なんてあるものかしらん、私は獣ほかない様な気がして居た。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
三十年と研究練磨してきた天然理心流の奥伝よりも鋭く人を倒す弾丸——小さい円い
丸
(
たま
)
——それが、百姓兵の、芋侍にもたれて、三日、五日稽古すると、こうして、近藤が、この木の蔭にいても
近藤勇と科学
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
ヴァイオリンを弾く音、人のどなる声、王様こかしの
丸
(
たま
)
の響、945
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
やっと引金に指を
当
(
あて
)
る事だけネ教わって覚えたので、時々やって見た事がある、今も
丸
(
たま
)
が込めて有る事を思い出したから、
直
(
すぐ
)
に旦那の手箱の
中
(
うち
)
から取出してね、思い切って
遣
(
や
)
って見たんだけれども
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
布団の襟から覗いてる男の頭が、鉄の
丸
(
たま
)
のように見えた。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ドストイェフスキーはかくして法律の
捏
(
こ
)
ね丸めた熱い
鉛
(
なまり
)
の
丸
(
たま
)
を
呑
(
の
)
まずにすんだのである。その代り四年の月日をサイベリヤの野に暮した。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この答辨に次で、何時でも女房が最う一遍新に
丸
(
たま
)
を籠めて発砲し、リツプは僅に身を以て免かるといふ様な勢で、兵を引上げ、外へ出て行きます。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ピストルの
丸
(
たま
)
の当らぬ様、押入れの外に身を隠して、その竹竿で怪物の手からピストルを叩き落そうというのだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
昨日は人の波打ちしコルソオの大道には、往き交ふ人
疎
(
まばら
)
にして、白衣に
藍
(
あゐ
)
色の縁取りしを
衣
(
き
)
たる懲役人の一群、
霰
(
あられ
)
の如く散りぼひたる石膏の
丸
(
たま
)
を掃き居たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
高重は片腕を
捲
(
ま
)
くし上げると、盃を
舐
(
な
)
めながら、ぶるぶる慄えて落ちそうな阿片の
丸
(
たま
)
を睨んでいた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
両方より大砲小銃打発候得バ、自分もちてをる筒や、左右大砲の車などへ、飛来りて
中
(
あた
)
る
丸
(
たま
)
のおとバチ/\、其時大ていの人ハ敵ニつゝの火が見ゆると、地にひれふし候。
手紙:018 慶応元年九月九日 池内蔵太家族あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
我々はすぐに薄暗い、その
癖
(
くせ
)
装飾はけばけばしい、妙な応接室へ案内された。成程これじゃ金玉均でなくても、いつ何時どんな窓の外から、ピストルの
丸
(
たま
)
位は食わされるかも知れない。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この時もいたく
胸騒
(
むなさわ
)
ぎして、
平生
(
へいぜい
)
魔除
(
まよ
)
けとして
危急
(
ききゅう
)
の時のために用意したる
黄金
(
おうごん
)
の
丸
(
たま
)
を取り出し、これに
蓬
(
よもぎ
)
を巻きつけて打ち放したれど、鹿はなお動かず、あまり怪しければ近よりて見るに
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
(この間小猿等大いなる
丸
(
たま
)
を弄びゐたるが、その丸を転がし出す。)
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
嚢
(
ふくろ
)
が
綻
(
ほころ
)
びて中から
丸
(
たま
)
が飛出して
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いえいけません。きっとあれで面白半分にお隣りの
鶏
(
とり
)
を打つに違ないから。構わないから
丸
(
たま
)
だけ取り上げて来て下さい」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「オヤ、妙だね。カチンカチンと云ったばかりで、
丸
(
たま
)
が飛出さぬ様だね。ハハハハハ、もう一度やってごらん」
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そが間には軍服に
假髭
(
つけひげ
)
したる羅馬美人ありて、街上なる
知人
(
しるひと
)
に「コンフエツチイ」の
丸
(
たま
)
を
擲
(
なげう
)
てり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼はメリヤスを
丸
(
たま
)
にして抛り上げた。彼は身体を激しく振つて笑つた。悲しくもなつた。
悲しめる顔
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
ですからリツプが今迄見た内でこれが一番沈んだ会でした。この場所の静かなのを時々破るものは、
丸
(
たま
)
の音計りです、抛げ出される度に、山伝ひに谺響を喚起す、鳴渡る雷の様な丸の音計りです。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
丸
(
たま
)
は硝子の音がする。2405
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
丸
(
たま
)
が
這入
(
はい
)
るのも仕方がないでしょう。こうして学校の隣りに住んでいる以上は、時々はボールも飛んで来ましょう。しかし……あまり乱暴ですからな。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
魚雷でも大砲の
丸
(
たま
)
でも、その磁力圏に飛び込んだが最後、悉く引きつけてしまうのです。この黒い物体は、鎖で引かれて、水中を軍艦のうしろからお供をしているのです。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大いなる山、大いなる空、千里を
馳
(
か
)
け抜ける野分、八方を包む煙り、
鋳鉄
(
しゅてつ
)
の
咽喉
(
のんど
)
から
吼
(
ほ
)
えて飛ぶ
丸
(
たま
)
——これらの前にはいかなる偉人も偉人として認められぬ。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
谷山は部屋の隅へ走って行って、そこの小机のひきだしから、いざという時の用意に、
丸
(
たま
)
をこめておいた小型ピストルを取出し、その引金に指をかけて、一同の前へ戻って来た。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
黒くむらがる者は
丸
(
たま
)
を浴びるたびにぱっと消える。消えたかと思うと吹き散る煙の中に動いている。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小人国の住人から見れば、ガリバアの皮膚は象の皮の何十倍も厚くて、大砲の
丸
(
たま
)
は
迚
(
とて
)
も通りません。小人国最大の巨砲に撃たれても、ガリバアは蚊に刺されたほどにしか感じないのです。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
急に
溜飲
(
りゅういん
)
が起って
咽喉
(
のど
)
の所へ、大きな
丸
(
たま
)
が上がって来て言葉が出ないから、君に
譲
(
ゆず
)
るからと云ったら、妙な病気だな、じゃ君は人中じゃ口は利けないんだね、困るだろう、と聞くから
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ちゃんと
丸
(
たま
)
がこめてありますよ。だがあなたピストルを打ったことがありますか。打ち方を御存知ですか。それに、ホラ、あなたの手は中気
病
(
や
)
みの様にブルブル震えているじゃありませんか。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、仕合わせと
丸
(
たま
)
はそれた。後部のガラス窓を微塵に
打破
(
うちわ
)
ったばかりだ。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
丸
常用漢字
小2
部首:⼂
3画
“丸”を含む語句
弾丸
烏丸
流丸
丸切
丸髷
丸薬
銃丸
大丸
丸子
丸燒
丸岡九華
大丸髷
彈丸
丸行燈
人丸
金丸
西丸
安宅丸
丸橋忠弥
丸呑
...