“一重”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ひとえ72.8%
ひとへ20.0%
ひとかさ4.0%
ひとかさね1.6%
いちじゅう0.8%
ひとじゅう0.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ただこの花でむずかしいのは、芽生めばえのうちから葉の形で八重やえ一重ひとえを見分けて、一重をてて八重をのこすことであった。
大小だけは人をして避けしめるほど威嚇的な長刀ながものであるが、襟垢えりあかのついたあわせに上へ一重ひとえの胴無しも羽織っていない。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
進み進んで、出来る、出来ない、成就じょうじゅ不成就の紙一重ひとえあやうさかいに臨んでふるうのが芸術では無いでしょうか。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
藍地あゐぢこん立絞たてしぼり浴衣ゆかたたゞ一重ひとへいとばかりのくれなゐせず素膚すはだた。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゞ一重ひとへもりづれば、吹通ふきとほしのかぜすなきて、雪駄せつたちやら/\とひととほ
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一重ひとへこえて見るに、薪とすべき柴あまたありしゆゑ自在じざいきりとり、雪車そり哥うたひながら徐々しづかにたばね
それから、また暫くあって、例の一重ひとかさねの衣類を小腋にしたまま、屋形船に帰るところの机竜之助を見ました。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
園子の形見としてその日まで大切にしまって置いた一重ひとかさねの晴着と厚い帯とが、そこに残っていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と言って、大野屋の娘に付き添いの男が祝いの供えもち一重ひとかさねをお粂や宗太への土産にくれた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その年この村疫病で人多く死んだが、この家のみ免れ、僧都のもとへ参り告げると被物かむりもの一重ひとかさねくれたとある。
「出格の御詮議を以て、一同士分のお取扱いを仰せ付けられる。依って絹服けんぷく一重ひとかさねずつ下し置かれる」
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「いいねえ、与八さん、いいだろう、お前の頭の上へ石を積んだって、かまやしないね、一重いちじゅう組んでは父のため、二重組んでは母のため……なんだから」
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
気取ったおかず婆さんからは、餡がお気に召すまいからと云って、唯搗き立てをちぎったまゝで一重ひとじゅうよこす。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)