“袍”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ほう60.4%
うわぎ11.3%
ひたたれ5.7%
はう5.7%
うはぎ3.8%
きもの3.8%
ガウン3.8%
どてら1.9%
ころも1.9%
ごろも1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
無紋のほうに灰色の下襲したがさねで、かむりは喪中の人の用いる巻纓けんえいであった。こうした姿は美しい人に落ち着きを加えるものでえんな趣が見えた。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
王侍御は王給諌に逢おうと思って客の前へ着てゆくずきんうわぎをさがしたが、二つとも見つからないので、すぐ出ることができなかった。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
錦のひたたれを着した武士、手に紅羅の傘蓋さんがいをささげて、左右には、金瓜きんか銀鉞ぎんえつ戈矛かぼうをさしあげ、天子の鑾駕らんがの偉容を整えさせている。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その謙遜なりしこと、今の兒曹こらも及ばざるべし。考試畢りて後、彼は「カピトリウム」の壇に上りぬ。拿破里ナポリの王は手づから濃紫のはうを取りて、彼が背にせき。
淡紅色ときいろ薔薇ばらの花、亂心地みだれごゝち少女をとめにみたてる淡紅色ときいろ薔薇ばらの花、綿紗モスリンうはぎとも、あめの使ともみえるこしらへもののそのはねを廣げてごらん、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
階の上には一人の王様が、まつ黒なきものに金のかんむりをかぶつて、いかめしくあたりを睨んでゐます。これは兼ねてうはさに聞いた、閻魔えんま大王に違ひありません。
杜子春 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ニスのような皮膚をしたヌビヤ人、ターバンを巻いた亜剌比亜アラビヤ人。ガウンを纏った波斯ペルシャ人。そうしてみんな喋舌しゃべっていた。多くは大道商人である。
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
船首へさき船尾ともとに船夫かこがいた。纐纈布のどてらを着た、若いたくましい船夫であったが、去年の初秋甚太郎を、纐纈城へさらって行った、その船夫の中の二人であった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その時いづくよりとも知らず、ころもをまとうた学匠がくしやうが、忽然こつねんと姿をあらはいて、やさしげに問ひかけたは
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
朽葉色くちばいろ田螺頭巾たにしずきんをかぶり、それより色の黒い頬のコケに、長いもみ上げをばさらと散らし、しらみもいそうな破れごろもをおかしげに着て、皮帯皮靴、大股ひらいて、こぶしを天に振っている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)