“どてら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
褞袍69.5%
広袖11.9%
縕袍5.1%
寛袍2.5%
廣袖1.7%
寛博0.8%
綿袍0.8%
0.8%
布子0.8%
温袍0.8%
綈袍0.8%
綿衣0.8%
胴服0.8%
胴袖0.8%
褞衣0.8%
襤袍0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ともじッさまがいわっしゃるとの、馬鹿いわっしゃい、ほんとうに寒気がするだッて、千太は天窓あたまから褞袍どてらかぶってころげた達磨だるまよ。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一人ねお金を沢山たんと持っている客人があるのざんすよ、先刻さっきわっしがねお召を着替なましって広袖どてらへ浴衣を重ねて貸したのさ、初会客だが、目の悪い二十五六のい男の、品のい人だが
彼は煙草へ火をけようとして枕元にある燐寸マッチを取った。その時袖畳そでだたみにして下女が衣桁いこうへかけて行った縕袍どてらが眼にった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おおかめさんが寝間着に寛袍どてらをはおって、大座ぶとんに坐り、それをとり巻いて振り将棋みたいなことをして、みんながけた小銭を、ザクザクと、おおかめさんは座ぶとんや、ひざの間に押入れて
廣袖どてらけて女中ぢよちうが、と、はた/\とそであふつたが、フトとりるやうにおもつて、くらがりで悚然ぞつとした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
石川五右衛門にて寛博どてらの前をくつろげ、胸を見せたるはよく、やや頭を左に傾けたる形風情あり。のべの銀煙管は市川流なり。
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
芝翫しかんの五右衛門、大百だいびゃくに白塗立て、黒天鵞絨くろビロウド寛博どてら素一天すいってん吹貫ふきぬき掻巻かいまきをはおり
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
表裏の区別を全然無視せんとて、会社なり役所なりに出勤するに綿袍どてらを着て行き、夏の日に真裸まっぱだかで行くものはあるまい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
また家庭にありて一家団欒だんらんしている際は、寒ければ綿袍どてらを着ても用が足り、主人も気楽きらくなれば細君さいくんも衣服の節倹せっけんなりと喜ぶが、ふと客があれば急に紋付もんつきに取替える。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
船首へさき船尾ともとに船夫かこがいた。纐纈布のどてらを着た、若いたくましい船夫であったが、去年の初秋甚太郎を、纐纈城へさらって行った、その船夫の中の二人であった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「船頭どもだ。三人のな。赤いどてらを着た船頭どもだ」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
などと追々増長して、師匠の布子どてらを着て大胡坐おおあぐらをかいて、師匠が楊枝箱ようじばこをあてがうと坐ってゝ楊枝をつかうがいをするなどと、どんな紙屑買が見ても情夫いゝひととしか見えません。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
振ってひりりとする朝湯に起きるからすぐの味を占め紳士と言わるる父の名もあるべき者が三筋に宝結びの荒き竪縞たてしま温袍どてら
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
そして冬中女の手のへらされた勝手元の忙しい働きの隙々ひまひまに見るように、主婦からあてがわれている仕事に坐った。仕事は大抵、これからの客に着せる夜着や、綈袍どてらや枕などの縫釈ぬいときであった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
甚「の肉を食うと綿衣どてら一枚いちめえ違うというから半纒はんてんを質に置いてしまったが、オウ、滅法寒くなったから当てにゃアならねえぜ、本当に冗談じゃアねえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「御用なら、お人を下されば上りましたのに。」と源右衞門は居住ひをなほし、胴服どてらの襟を引ツ張りながら言つた。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
何と御坊ごぼう。——資治卿が胴袖どてら三尺さんじゃくもしめぬものを、大島守なりで、馬につて、資治卿の駕籠かごと、演戯わざおぎがかりで向合むかいあつて、どんなものだ、とニタリとした事がある。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
侍は、床の間を背にして、固い褞衣どてらの中から、白い手を出して、煙草を喫いつつ
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
お召の襤袍どてら、そんなところは無事でしたが、お仕舞には、フェルトの帽子、薄汚れたボヘミアンネクタイ、スリッパなどが出るという浅ましい有様、やがて、そんなものを売り尽すと