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広袖
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どてら
ふりがな文庫
“
広袖
(
どてら
)” の例文
旧字:
廣袖
後悔をしても
追附
(
おっつ
)
かない。で、弦光のひとり寝の、浴衣をかさねた木綿
広袖
(
どてら
)
に
包
(
くる
)
まって、火鉢にしがみついて、肩をすくめているのであった。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人ねお金を
沢山
(
たんと
)
持っている客人があるのざんすよ、
先刻
(
さっき
)
私
(
わっし
)
がねお召を着替なましって
広袖
(
どてら
)
へ浴衣を重ねて貸したのさ、初会客だが、目の悪い二十五六の
好
(
よ
)
い男の、品の
好
(
い
)
い人だが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小宮山は
広袖
(
どてら
)
を借りて手足を伸ばし、
打縦
(
うちくつろ
)
いでお茶菓子の
越
(
こし
)
の雪、否、広袖だの、秋風だの、越の雪だのと、お愛想までが薄ら寒い谷川の音ももの寂しい。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
気の毒でならねえ、あの利かねえ身体で、
*
四つ手校注に乗って
広袖
(
どてら
)
を着て、きっとお前が
此家
(
こゝ
)
に居ると思って、奥に
先刻
(
さっき
)
から師匠は来て待って居るから、行って逢いな、気の毒だあナ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
雪まぶれの外套を脱いだ寒そうで
傷々
(
いたいた
)
しい、
背
(
うしろ
)
から苦もなくすらりと
被
(
かぶ
)
せたので、洋服の上にこの
広袖
(
どてら
)
で、長火鉢の前に
胡坐
(
あぐら
)
したが、大黒屋
惣六
(
そうろく
)
に
肖
(
に
)
て
否
(
ひ
)
なるもの
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
薄汚れて、
広袖
(
どてら
)
かと思う、袖口も
綻
(
ほころ
)
びて下ったが、
巌乗
(
がんじょう
)
づくりの、ずんと脊の高い、目深に
頬被
(
ほおかぶ
)
りした、
草鞋穿
(
わらじばき
)
で、裾を端折らぬ、風体の変な男があって、懐手で
俯向
(
うつむ
)
いて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
広袖
(
どてら
)
を着たまま亡くなると、看病やつれの結び髪を解きほぐす間も無しに、母親も後を追う。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眉の青い路之助が、八
反
(
たん
)
の
広袖
(
どてら
)
に、桃色の
伊達巻
(
だてまき
)
で、むくりと起きて出たんですから。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
気疾
(
きばや
)
に
頸
(
くび
)
からさきへ
突込
(
つっこ
)
む目に、何と、
閨
(
ねや
)
の枕に小ざかもり、
媚薬
(
びやく
)
を
髣髴
(
ほうふつ
)
とさせた道具が並んで、
生白
(
なまじろ
)
けた雪次郎が、しまの
広袖
(
どてら
)
で、
微酔
(
ほろよい
)
で、夜具に
凭
(
もた
)
れていたろうではないか。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
北の海なる
海鳴
(
うみなり
)
の鐘に似て凍る時、音に聞く……
安宅
(
あたか
)
の関は、この
辺
(
あたり
)
から海上三里、弁慶がどうしたと? 石川県
能美郡
(
のみごおり
)
片山津の、
直侍
(
なおざむらい
)
とは、こんなものかと、客は
広袖
(
どてら
)
の襟を
撫
(
な
)
でて
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
可訝
(
おかし
)
な顔をして出て来ようと思ったその(小使)でもなしに、車夫のいわゆるぺろぺろの先生、早瀬主税、左の袖口の
綻
(
ほころ
)
びた
広袖
(
どてら
)
のような
絣
(
かすり
)
の
単衣
(
ひとえ
)
でひょいと出て、顔を見ると、これは
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(えへん)と
咳
(
せきばらい
)
を太くして、
大
(
おおき
)
な手で、灰吹を持上げたのが見えて、離れて
煙管
(
きせる
)
が映る。——もう一倍、その時図体が拡がったのは、袖を開いたらしい。
此奴
(
こいつ
)
、
寝
(
ね
)
ん
寝子
(
ねこ
)
の
広袖
(
どてら
)
を着ている。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
湯の廓は皆柳の中を
広袖
(
どてら
)
で
出歩行
(
である
)
く。
勢
(
いきおい
)
なのは浴衣一枚、
裸体
(
はだか
)
も見えた。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
睦
(
むつま
)
じやかなる
談話
(
はなし
)
の花を、心無くも吹散らす、疾風一陣障子を開けて、お丹例のごとく帯もしめず、今起き出でたる風情にて、乱れ姿に
広袖
(
どてら
)
を
引懸
(
ひっか
)
け、不作法に
入来
(
いりきた
)
りて、
御両方
(
おふたかた
)
の身近に寄り
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
外套を
押遣
(
おしや
)
って、ちと慌てたように
広袖
(
どてら
)
を脱ぎながら、上衣の衣兜へまた手を入れて、顔色をかえて
悄
(
しお
)
れてじっと考えた時、お若は
鷹揚
(
おうよう
)
に
些
(
さ
)
も意に介する処のないような、しかも情の
籠
(
こも
)
った調子で
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……次にまた浴衣に
広袖
(
どてら
)
をかさねて持って出た
婦
(
おんな
)
は、と見ると、
赭
(
あか
)
ら顔で、
太々
(
だいだい
)
とした
乳母
(
おんば
)
どんで、大縞のねんね子
半纏
(
ばんてん
)
で四つぐらいな男の
児
(
こ
)
を
負
(
おぶ
)
ったのが、どしりと絨毯に坊主枕ほどの膝をつくと
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
綿を厚く入れた薄汚れた
棒縞
(
ぼうじま
)
の
広袖
(
どてら
)
を着て、日に向けて
背
(
せなか
)
を円くしていたが、なりの低い事。草色の
股引
(
ももひき
)
を
穿
(
は
)
いて
藁草履
(
わらぞうり
)
で立っている、顔が荷車の上あたり、顔といえば顔だが、成程鼻といえば鼻が。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
広袖
(
どてら
)
を出しておくれ、……二階だよ。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
広
常用漢字
小2
部首:⼴
5画
袖
常用漢字
中学
部首:⾐
10画
“広袖”で始まる語句
広袖浴衣