うわぎ)” の例文
王侍御は王給諌に逢おうと思って客の前へ着てゆくずきんうわぎをさがしたが、二つとも見つからないので、すぐ出ることができなかった。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
天子てんしさまはたいそう頼政よりまさ手柄てがらをおほめになって、獅子王ししおうというりっぱなつるぎに、おうわぎ一重ひとかさえて、頼政よりまさにおやりになりました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
上殿から危うく転び落ちそうになったのを、背後から小姓がうわぎを押さえた。斉正は、たかが七面鳥のことで、将軍と争うほどのこともあるまい、と急に考え直した。
『七面鳥』と『忘れ褌』 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
間もなく蛙神夫婦が朱のうわぎを着てその家に姿を見せた。翌日になって十娘は産蓐さんじょくについて、一度に二人の男の子を生んだ。それから神との往来がひっきりなしに行われた。
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
史進もまた、こう貰ってばかりいてはと思って、家に伝わる紅錦織こうきんおりを三りょううわぎに仕立てさせ、あぶらののッた美味うまい羊の焼肉を大きなふたものへいれて、日頃の礼にと、山寨さんさいへ届けさせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大臣だいじんつるぎとおうわぎを持って、御殿ごてんのきざはしの上にって、頼政よりまさにそれをさずけようとしました。頼政よりまさはきざはしの下にひざをついてそれをいただこうとしました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
夜が明けて見に集まって来た者が数千人あったが、そのさまを見て皆が拝んでいった。そして一日のうちに百金集まったので、そこでそれを南郊に葬ったが、好事者ものずきは朱い冠にうわぎを着けて会葬した。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)