ひたたれ)” の例文
錦のひたたれを着した武士、手に紅羅の傘蓋さんがいをささげて、左右には、金瓜きんか銀鉞ぎんえつ戈矛かぼうをさしあげ、天子の鑾駕らんがの偉容を整えさせている。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この日、曹操は、七宝の金冠をいただき、緑錦りょっきんひたたれを着、黄金こがねの太刀を玉帯に佩いて、足には、一歩一歩燦爛さんらんと光を放つ珠履しゅりをはいていた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間に、近侍のひとりは、柳の側へ走って、かけてあるくれないひたたれをおろし、それを曹休に与えようとすると
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何者ぞや、花盗人はなぬすびとは。ひたたれはすでに、先に小将軍が射られたり。わが手並を見てから広言を払え」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「将軍の着ておられる緑のひたたれ緑錦りょっきんの地色も見えないほど古びておるな。陽もうららかになるとあまりに襤褸ぼろが目につく。これを着たまえ。——君の身丈にあわせて仕立てさせておいたから」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)