一重ひとかさ)” の例文
天子てんしさまはたいそう頼政よりまさ手柄てがらをおほめになって、獅子王ししおうというりっぱなつるぎに、おうわぎ一重ひとかさえて、頼政よりまさにおやりになりました。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
岸本は節子を呼んで、箪笥たんす抽筐ひきだしを引出して見せた。園子の形見としてその日まで大切にしまって置いた一重ひとかさねの晴着と厚い帯とが、そこに残っていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それから、また暫くあって、例の一重ひとかさねの衣類を小腋にしたまま、屋形船に帰るところの机竜之助を見ました。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
上から下までそっくり一重ひとかさねと、それからあなたのお手許で御都合のできるだけのお金をお貸し下さいませ
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と言って、大野屋の娘に付き添いの男が祝いの供えもち一重ひとかさねをお粂や宗太への土産にくれた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一重ひとかさねの衣類でした。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)