“抽筐”の読み方と例文
読み方割合
ひきだし100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
岸本は節子を呼んで、箪笥たんす抽筐ひきだしを引出して見せた。園子の形見としてその日まで大切にしまって置いた一重ひとかさねの晴着と厚い帯とが、そこに残っていた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「子供がいろいろお世話に成りました」それを岸本が言って、下座敷に置いてある箪笥の抽筐ひきだしの底から園子の残したものを節子姉妹に分けてくれたこともあった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
異郷の旅の心を慰めるために、岸本は自分の部屋にある箪笥たんすの前に行った。箪笥とは言っても、鏡を張った開き戸のある置戸棚おきとだなに近い。その抽筐ひきだしの中から国の方の親戚や友人の写真を取出した。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)