たま)” の例文
旧字:
あざむくに詞なければ、じつをもてぐるなり。必ずしもあやしみ給ひそ。吾は九三陽世うつせみの人にあらず、九四きたなきたまのかりにかたちを見えつるなり。
そこまで信仰においつめられたと言うよりもむしろ、自らたまのよるべをつきとめて、そこに立ち到ったのだと言う外はない。
山越しの阿弥陀像の画因 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
たま真柱まはしら』、『玉だすき』、それから講本の『古道大意』なぞは読んでも読んでも飽きるということを知らなかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
たまたいもそのままかすみのうちにけ去りてすくうも手にはたまらざるべきお豊も恋に自己おのれを自覚しめてより、にわかに苦労というものも解しめぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
このさも雪はふりけり。かのさも雪はふりけり。その声やたまぬかに、降り積り、ぬる白雪。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ただひたすら、めぐりあう日は神仏しんぶつのおむねにまかせて、坂東ばんどう三十三ヵしょのみたまいのりをおかけなさい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父母の生みなして、死ぬれば、そのたま永く幽界かくりよおもむきおるを、人これを祭れば、来たりうくることと、ありのままに心得おりて、あながちにその上を穿鑿たずねでもあるべきものなり
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
だから戦死者のみたまは、悲しまず、悩まず、今もわれわれをお守り下さるのである。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
お父上をお殺しになった雄略天皇ゆうりゃくてんのうを、深くおうらみになりまして、せめてそのみたまに向かって復しゅうをしようというおぼしめしから、人をやって、河内かわち多治比たじひというところにある
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
そのたまは自然のふところに返ったというこころを詠じたものであります。
春の鳥 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
佐保山の御陵に眠る聖武天皇ならびに光明皇后のみたま、中天をこがす炎の渦巻うずまきをいかなる御心にて観ぜられたであろうか。御二方の身命をささげられた大伽藍は、一朝にして滅びて行ったのである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
かばねこそ荒野の露にさらしてめたまの行方を知らでやはあらぬ
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
(ほの暗き淵!)の上にぞわがたま天翔あまがけりとどまる
我が初の数闋すうけつを歌ひて聞せしたま等は
わがたま の なやむ 産屋うぶや か。
御霊うぶや (新字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
ちいさきたまにそはず。
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
あら仰げ勝利のたま
しやうりの歌 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
たまのたむけ
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
当麻路に墓を造りました当時そのかみ、石をはこぶ若い衆にのり移ったたまが、あの長歌をうとうた、と申すのが伝え。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
あの篤胤先生には『たま真柱まはしら』という言葉がある……そうさ、魂の柱さ。そいつを皆が失っているからじゃないかね……今の時代が求めるものは、君、再び生きるということじゃなかろうか……
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
このよさも雪はふりけり。かのよさも雪はふりけり。その声やたまぬかに、降り積り消ぬる白雪。白雪のふれば幽かに、たまゆらは澄みてありけど、白雪のぬるたまゆら、仄かなるまたもにけり。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
騒ぎにつけこんで、悪いたまが、うよ/\とつめかけて来るもので御座ります。この御館みたちも、古いおところだけに、心得のある長老おとなの、一人や、二人は筑紫へ下らずに残つて居るので御座りませう。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
善主麿ぜんすまろ今日けふいのりたまくゆりこがるる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
浄華じやうげのわかさ、たまあかもつるる赤熱しやくねつよ。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あはあはれあらぬ谷にいとくらたまや落つる。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
響きいづ、響きいづ、最終いやはてたま梵鐘ぼんしよう
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
自棄やけねつたまか、見よ、枝もたわわに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あらたま、まつろはぬいざことむけむ。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
にぎたま、またやはせ、ただにやすらと
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わがたまは泣き濡れてかへりゆく
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わがたまは泣き濡れてかへりゆく
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なやましきたまのひとすぢ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
よく観よ、にぎたま
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
むらがるたま
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
亡きたま
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)