“融”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
89.1%
とほる3.1%
とけ2.3%
とろ2.3%
とおる1.6%
とか0.8%
どけ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし水から出すとすぐに、その光沢はせてきて、その姿が指の間にけ込む。彼はそれを水に投げ込み、また他のをあさり始める。
昨夜も散歩の帰りに、好子は子供のことですこしばかりとほるうつたへるところがあつた。訴へるといつても、それは愚痴とか不満とかいふやうな種類のものでは決してなかつた。
二人の病人 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
この供養は朝の四時頃までで日ののぼらぬ中に取片付とりかたづけてしまう。日が上って来ればバタ細工がとけてしまうからです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それは彼が瞽目めくらだったからであった。顔に焚火があたっていた。両眼のまぶたがむくれ返り、真紅な肉裏を見せていた。眼球が一面に白かった。瞳がとろけてなくなっていた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
翁が能静氏の門下で修業中、名曲「とおる」の中入なかいり後、老人の汐汲しおくみの一段で「東からげの潮衣——オ」という引節ひきふしの中で汐を汲み上げる呼吸がどうしても出来なかった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
近江さんに案内して頂いて自分達はイザル川を横ぎり森の中を雨に濡れながら歩いた。川は石灰いしばひとかした様に真白まつしろな流れがげきして居た。森には種種いろ/\が鮮かに黄ばんで居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
山岳地帯は、まだ雪どけもしていないとみえ、千曲川の水は少なかった。びょうとして広い河原に、動脈静脈のような水流のうねりを見るだけである。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)