“汐汲”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しおく57.1%
しおくみ42.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
せいと言われても辞儀もせぬ。ほかの奴のように名のりもせぬ。弱々しゅう見えてもしぶとい者どもじゃ。奉公初めは男が柴苅しばかり、女が汐汲しおくみときまっている。その通りにさせなされい
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その頃、陸奥の汐汲しおくみの娘が、同じ村の汐焼きの男と恋をした。が、女には母親が一人ついている。その目を忍んで、夜な夜な逢おうと云うのだから、二人とも一通りな心づかいではない。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
翁が能静氏の門下で修業中、名曲「とおる」の中入なかいり後、老人の汐汲しおくみの一段で「東からげの潮衣——オ」という引節ひきふしの中で汐を汲み上げる呼吸がどうしても出来なかった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
汐汲しおくみ」の、「君にや誰かつげのくし、さし来る汐を汲もうよ汲み分けて」のところなどやかましく云って、「月は一つ影は二つ」でおけの中に月のある思いをせよと云ったこと。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)