とほる)” の例文
昨夜も散歩の帰りに、好子は子供のことですこしばかりとほるうつたへるところがあつた。訴へるといつても、それは愚痴とか不満とかいふやうな種類のものでは決してなかつた。
二人の病人 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
又陸奧の鹽竈の景色を寫したので名高いあの東三條の河原院に、夜な/\現はれると云ふ噂のあつたとほるの左大臣の靈でさへ、大殿樣のお叱りを受けては、姿を消したのに相違ございますまい。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
陸奥みちのく塩竈しほがまの景色を写したので名高いあの東三条の河原院に、夜な/\現はれると云ふ噂のあつたとほるの左大臣の霊でさへ、大殿様のお叱りを受けては、姿を消したのに相違ございますまい。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
とほる何時いつからかポオトフオリオを一つ欲しいと思つてゐた。
折鞄 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)