たま)” の例文
役人を已めてから、実業界に這入はいって、何かかにかしているうちに、自然と金がたまって、この十四五年来は大分だいぶんの財産家になった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女たちは、唯功徳の為に糸を績いでいる。其でも、其が幾かせ、幾たまと言う風にたまって来ると、言い知れぬ愛著あいちゃくを覚えて居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
少しばかりのお小遣いがたまったので、久し振りに日本髪に結ってみる。日本髪はいいな。キリリと元結を締めてもらうと眉毛が引きしまって。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
面白いものは見ず、こうやって居るんだものを、まア一生懸命に十年の間稼いだら滅法に金がたまろうと思うが、多助さんは幾許いくら貯める積りだね
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
米友は、今しばらく旅費に窮したから八幡宮に雇われましたけれど、いくらか給金がたまればそれを持って、お君を探しに行くつもりなのであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
俗に「耳白みみしろ」という文銭をり出しては箱に入れて集めておられ、それがたまり貯りして大変なかさになっていたのを、蔵の中にある穴蔵の中へ入れてありました。
モーニングまでたまりやがったよ。シルクハットだけ、なかったなア。背広だのネクタイだの腐るほどあつまりやがるもんで、ワイシャツの着方てえものを覚えなきゃアならねえな。戦争は文明なものだ。
武者ぶるい論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「ただ、たまるばかり。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
役人をめてから、実業界に這入つて、なにかにかしてゐるうちに、自然と金がたまつて、此十四五年来は大分だいぶんの財産家になつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
卓子のかぎをじいっとみつめていると、心がわくわくして来る。ひき出しをあけて金を数える。百円以上もたまっている。大したものだ。銀貨の重なった上に掌をぴたりとあててみる。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
ときか一時半ときはんほかないでかせいで、かねめなければ、本当ほんたうかねたまらない。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)